下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和3年(12月試験) 問4

【動画解説】法律 辻説法

【問 4】 いずれも宅地建物取引業者ではない売主Aと買主Bとの間で令和3年7月1日に締結した売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 BがAに対して手付を交付した場合、Aは、目的物を引き渡すまではいつでも、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。

2 売買契約の締結と同時に、Aが目的物を買い戻すことができる旨の特約をする場合、買戻しについての期間の合意をしなければ、買戻しの特約自体が無効となる。

3 Bが購入した目的物が第三者Cの所有物であり、Aが売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、Aは損害を賠償せずに売買契約を解除することができる。

4 目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。

【解答及び解説】

【問 4】 正解 4

1 誤り。買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その「相手方」が契約の履行に着手した後は、この限りでない。したがって、Aは、Bが代金支払等の履行に着手するまでに、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することになる。
*民法557条1項

2 誤り。買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければならない。買戻しの特約が無効になるわけではない。
*民法580条3項

3 誤り。他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負い、たとえそのことを知らなかった場合でも、契約を解除することはできない。
*民法561条

4 正しい。引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主の善意・悪意を問わず、担保責任を追及することができる。そして、売主が悪意の場合は、契約不適合の通知の期間制限がないので、買主は消滅時効にかからない限り、通知をしなくても担保責任を追及することができる。
*民法566条但書


【解法のポイント】肢3は、法改正前の内容を「誤り」の肢として出題しています。しばらくは、法改正の余波が続きそうです。