下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和3年 問44

【動画解説】法律 辻説法

【問 44】 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が受け取ることができる報酬額についての次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 居住の用に供する建物(1か月の借賃20万円。消費税等相当額を含まない。)の貸借であって100万円の権利金の授受があるものの媒介をする場合、依頼者双方から受領する報酬の合計額は11万円を超えてはならない。

2 宅地(代金1,000万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、売主から代理の依頼を受け、買主から媒介の依頼を受け、売買契約を成立させて買主から303,000円の報酬を受領する場合、売主からは489,000円を上限として報酬を受領することができる。

3 宅地(代金300万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の媒介について、通常の媒介と比較して現地調査等の費用が6万円(消費税等相当額を含まない。)多く要した場合、依頼者双方から合計で44万円を上限として報酬を受領することができる。

4 店舗兼住宅(1か月の借賃20万円。消費税等相当額を含まない。)の貸借の媒介をする場合、依頼者の一方から受領する報酬は11万円を超えてはならない。

【解答及び解説】

【問 44】 正解 2

1 誤り。宅地建物取引業者が、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の「一方」から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以内とする。したがって、Aは依頼者の一方から受領できる額は11万円となり、依頼者双方からは22万円となる。なお、本肢は居住の用に供する建物であるから、権利金を売買代金とみなす特例は適用されない。
*報酬告示第4

2 正しい。本肢は、宅地の売買であるから、消費税は課税されない。したがって、報酬の基礎となる取引代金は1,000万円である。そして、売主からは代理の依頼を受けているので、報酬の上限額は、(1,000万円×3%+6万円)×2×1.1=79.2万円となる。さらにAは、買主からも報酬を受領しているので、売主・買主の双方から受領する報酬の合計の上限は、79.2万円となる。本問では、Aは売主と買主の双方から303,000円+489,000円=79.2万円となっており、宅地建物取引業法に違反しない。
*報酬告示第3

3 誤り。本肢は、宅地の金額が300万円であり、400万円以下であるから、低廉な空家等の特例が適用されるので、通常の報酬の額に現地調査等の費用を加算することができる。したがって、売主から受領できる上限額は、通常の報酬額の300万円×4%+2万円=14万円に、現地調査の費用の6万円を追加し、20万円となりそうだが、現地調査の費用を加算する場合は18万円が上限とされている。これらの費用に消費税を上乗せし、(18万円×1.1)(売主側)+(14万円×1.1)(買主側)=35.2万円となる。
*報酬告示第7

4 誤り。宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の1月分の1.1倍に相当する金額以内とする。これについて、「居住の用に供する建物」については、依頼者の一方からは1月分の0.55倍という制限があるが、この「居住の用に供する建物」とは、専ら居住の用に供する建物を指すものであり、居住の用に供する建物で事務所、店舗その他居住以外の用途を兼ねるものは含まれない(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)。したがって、本肢は、「居住の用に供する建物」以外ということになり、依頼者の一方からは1月分の0.55倍という制限はなく、依頼者双方から合計で借賃の1月分の1.1倍に相当する金額以内であればよい。したがって、本肢では依頼者の一方から22万円までは報酬を受領できる可能性がある。
*報酬告示第4


【解法のポイント】報酬の問題は、計算が出てくるのでどうしても時間がかかってしまいますが、丁寧に対応すれば、内容的には難しくないと思います。