下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和3年 問33

【動画解説】法律 辻説法

【問 33】 宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明における水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。以下この問において同じ。)の長が提供する図面(以下この問において「水害ハザードマップ」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

1 宅地建物取引業者は、市町村が、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことを確認できた場合は、重要事項説明書にその旨記載し、重要事項説明の際に提示すべき水害ハザードマップが存在しない旨を説明すればよい。

2 宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む「洪水」、「雨水出水(内水)」、「高潮」の水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明の際にいずれか1種類の水害ハザードマップを提示すればよい。

3 宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、売買又は交換の媒介のときは重要事項説明の際に水害ハザードマップを提示しなければならないが、貸借の媒介のときはその必要はない。

4 宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明書に水害ハザードマップを添付すれば足りる。

【解答及び解説】

【問 33】 正解 1

1 正しい。水防法施行規則11条第1号の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が「表示されているとき」は、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を、重要事項として説明しなければならない。宅地建物取引業者は、当該市町村に照会し、当該市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップの全部又は一部を作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存しない旨の説明を行う必要がある。
*宅建業法施行規則16条の4の3第3号の2

2 誤り。重要事項の説明対象となっている水害ハザードマップは、洪水・雨水出水(内水)・高潮のハザードマップがあり、宅地建物取引業者は、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮の「それぞれ」について提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行うこととされている。1種類の水害ハザードマップを提示するだけでは足りない。
*宅建業法施行規則16条の4の3第3号の2

3 誤り。重要事項説明の際に水害ハザードマップの提示が必要とされるのは、売買又は交換の媒介だけではなく、宅地・建物を問わず、また、すべての取引態様において必要とされている。
*宅建業法施行規則16条の4の3第3号の2

4 誤り。水防法施行規則11条第1号の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該「宅地又は建物の所在地」を説明しなければならない。単に水害ハザードマップを添付するだけでなく、「宅地又は建物の所在地」を示す必要がある。
*宅建業法施行規則16条の4の3第3号の2


【解法のポイント】この問題は、「何となく」正解を出せた人が多かったと思いますが、一体本問の内容は「どこに書いてあるの?」と思った方が多かったのではないかと思います。出題の出典は「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」という通達をまとめたようなものからです。だからといって、この「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」を全部勉強する必要はありませんが、水害ハザードマップは近年注目されていることから、本問の内容くらいは勉強しておく必要がありそうです。再度出題されます。