下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和3年 問28

【動画解説】法律 辻説法

【問 28】 宅地建物取引士の登録(以下この問において「登録」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引士A(甲県知事登録)が、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事することとなったときは、Aは甲県知事を経由せずに、直接乙県知事に対して登録の移転を申請しなければならない。

2 甲県知事の登録を受けているが宅地建物取引士証の交付を受けていないBが、宅地建物取引士としてすべき事務を行った場合、情状のいかんを問わず、甲県知事はBの登録を消除しなければならない。

3 宅地建物取引士C(甲県知事登録)は、宅地建物取引業者D社を退職し、宅地建物取引業者E社に再就職したが、CはD社及びE社のいずれにおいても専任の宅地建物取引士ではないので、勤務先の変更の登録を申請しなくてもよい。

4 甲県で宅地建物取引士資格試験を受け、合格したFは、乙県に転勤することとなったとしても、登録は甲県知事に申請しなければならない。

【解答及び解説】

【問 28】 正解 4

1 誤り。宅地建物取引士の登録を受けている者は、当該登録をしている都道府県知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときは、当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事に対し、当該「登録をしている都道府県知事を経由」して、登録の移転の申請をすることが「できる」。つまり、登録の移転は、任意の制度であり登録の移転を申請しなければ「ならない」ものではない。また、登録の移転は本問でいうと甲県知事を経由する必要がある。
*宅建業法19条の2

2 誤り。宅地建物取引士の登録を受けている者で宅地建物取引士証の交付を受けていないものが、宅地建物取引士としてすべき事務を行い、「情状が特に重いとき」は、当該登録をしている都道府県知事は、当該登録を消除しなければならない。問題文は「情状のいかんを問わず」という部分が誤りである。
*宅建業法68条の2第2項3号

3 誤り。宅地建物取引士登録簿の記載事項として、「宅地建物取引業者の業務に従事する者にあっては、当該宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号」というのがあるので、勤務先を変更したCは変更の登録をする必要がある。
*宅建業法20条、同法施行規則14条の2の2第1項5号

4 正しい。宅地建物取引士資格試験に合格した者は、当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができる。したがって、Fの登録は甲県知事に申請しなければならない。これは他府県に転勤になった場合でも同様である。
*宅建業法18条1項


【解法のポイント】本問は基本的な問題だったと思いますが、肢3は注意して下さい。解説の通り、宅地建物取引士登録簿の「変更の登録」は必要です。ただ、宅地建物取引業者D社及びE社は「専任」の宅地建物取引士の変更ではないので、宅地建物取引業者名簿の「変更の届出」は不要です(宅地建物取引業者名簿の記載事項は「専任の宅地建物取引士の氏名」です。)。こういう細かい部分が宅建業法では合否の分かれ目です。