下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和3年 問23

【動画解説】法律 辻説法

【問 23】 所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 譲渡所得の特別控除額(50万円)は、譲渡益のうち、まず、資産の取得の日以後5年以内にされた譲渡による所得で政令で定めるものに該当しないものに係る部分の金額から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、それ以外の譲渡による所得に係る部分の金額から控除する。

2 譲渡所得の金額の計算上、資産の譲渡に係る総収入金額から控除する資産の取得費には、その資産の取得時に支出した購入代金や購入手数料の金額は含まれるが、その資産の取得後に支出した設備費及び改良費の額は含まれない。

3 建物の全部の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、不動産所得として課税される。

4 居住者がその取得の日以後5年以内に固定資産を譲渡した場合には、譲渡益から譲渡所得の特別控除額(50万円)を控除した後の譲渡所得の金額の2分の1に相当する金額が課税標準とされる。

【解答及び解説】

【問 23】 正解 1

1 正しい。譲渡益から譲渡所得の特別控除額(50万円)を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち資産の譲渡でその資産の取得の日以後5年以内にされたものによる所得(短期の譲渡益)から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、それ以外の譲渡による所得(長期の譲渡益)から控除する。
*所得税法33条5項

2 誤り。譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とされている。なお、設備費及び改良費は、資産の取得後に支出したものを指す。
*所得税法38条1項

3 誤り。建物の全部の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときに課税されるのは、不動産所得としてではなく、譲渡所得としてである。
*所得税法33条1項、所得税法施行令79条1項

4 誤り。所得税の課税標準である総所得金額は、譲渡益から譲渡所得の特別控除額を差し引いた後の譲渡所得の金額の2分の1に相当する金額が課税標準とされるが、それは資産の取得の日以後5年を超える資産を譲渡した場合に限られる。
*所得税法22条2項2号、33条3項2号


【解法のポイント】この問題は難しかったと思います。実は本問の各肢は、過去問で出題があります。肢1は平成20問 問26 肢3、肢2は平成20年 問26 肢2、肢3は平成17年 問26 肢2、肢4は平成17年 問26 肢4と同じ出題となっており、10年以上前の過去問で、しかも難しい肢からの出題でしたから、間違えても仕方がない問題だったかもしれません。しかし、こういう問題を見ると、過去問の重要性が思い知らされます。