下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和2年(12月試験) 問5

【動画解説】 法律 辻説法

【問 5】 時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、時効の対象となる債権の発生原因は、令和2年4月1日以降に生じたものとする。

1 消滅時効の援用権者である「当事者」とは、権利の消滅について正当な利益を有する者であり、債務者のほか、保証人、物上保証人、第三取得者も含まれる。

2 裁判上の請求をした場合、裁判が終了するまでの間は時効が完成しないが、当該請求を途中で取り下げて権利が確定することなく当該請求が終了した場合には、その終了した時から新たに時効の進行が始まる。

3 権利の承認があったときは、その時から新たに時効の進行が始まるが、権利の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないことを要しない。

4 夫婦の一方が他方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は、時効が完成しない。

【解答及び解説】

【問 5】 正解 2

1 正しい。時効は、「当事者」が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。そして、この「当事者」は、消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む、とされている。
*民法145条

2 誤り。裁判上の請求をしたが、それが確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合(請求の取下げ等)にあっては、その終了の時から6箇月を経過するまでの間は、時効の完成は猶予される。請求の終了した時から新たに時効の進行が始まるという時効の更新の効果はない。
*民法147条1項1号

3 正しい。時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。この承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないことを要しない。
*民法152条

4 正しい。夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
*民法159条



【解法のポイント】本問も前問と同様、多くは民法改正があった部分の条文を、条文の文言でそのまま問うているような問題です。