下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和2年 問30

【動画解説】 宅建 辻説法

【問 30】 宅地建物取引業者A及び宅地建物取引業者B(ともに消費税課税事業者)が受領する報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃には消費税等相当額を含まないものとする。

1 Aは売主から代理の依頼を、Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金5,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から343万2,000円、Bは買主から171万6,000円、合計で514万8,000円の報酬を受けることができる。

2 Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.1か月分である。

3 Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃25万円、権利金330万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を含む。)の賃貸借契約を成立させた場合、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、30万8,000円である。

4 Aが単独で行う事務所用建物の貸借の媒介に関し、Aが受ける報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。

【解答及び解説】

【問 30】 正解 4

1 誤り。まず、報酬の計算の基礎となる取引代金の額について、土地には消費税は課税されないので、宅地の売買代金である5,000万円を計算の基礎とする。
したがって、媒介の場合には、報酬の上限は、(5,000万円×3%+6万円)×1.1=171万6,000円となる。
そして、代理の場合には、その2倍であるから、343万2,000円となる。
ただし、一つの取引に複数の業者が関与する場合は、すべての業者の報酬を合わせて343万2,000円以内でなければならない。
本肢では、A及びBは、それぞれ媒介又は代理の場合の報酬の上限の金額を受領しているが、両者を合わせると343万2,000円を超えているので、本肢は宅建業法に違反する。
*告示第2、第3

2 誤り。居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以内である。しかし、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合は除かれており、この場合には借賃の1月分の1.1倍に相当する金額以内となるが、この依頼者の承諾は、事前に得ておく必要があり、「報酬請求時まで」に承諾を得ても遅い。
*告示第4

3 誤り。建物(居住の用に供する建物を除く。)の賃貸借で権利金(権利金その他いかなる名義をもってするかを問わず、権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)の授受があるものの媒介に関して依頼者から受ける報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。)については、当該権利金の額(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとする。)を売買に係る代金の額とみなして、報酬額を計算することができる。
したがって、本肢ではAは貸主・借主双方から媒介の依頼を受けており、また、権利金の税抜き価格は300万円であるから、依頼者「双方」から受領できる報酬の上限額は、(300万円×4%+2万円)×2×1.1=30万8,000円となる。依頼者の「一方」から受領できる報酬の上限額が30万8,000円となるわけではない。
*告示第6

4 正しい。宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該建物の借賃の1月分の1.1倍に相当する金額以内である。この場合、居住用建物以外であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよいので、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。
*告示第4



【解法のポイント】本問は、報酬の問題で、計算も含むものでしたが、それほど複雑な計算ではなく、助かったと感じた人も多かったのではないかと思います。肢3の「一方」という言葉は読み飛ばさないように注意して下さい。