下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和2年 問18

【動画解説】 宅建 辻説法

【問 18】 建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 公衆便所及び巡査派出所については、特定行政庁の許可を得ないで、道路に突き出して建築することができる。

2 近隣商業地域内において、客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館は建築することができない。

3 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、老人ホームの共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとされている。

4 日影による中高層の建築物の高さの制限に係る日影時間の測定は、夏至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われる。

【解答及び解説】

【問 18】 正解 3

1 誤り。建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならない。ただし、公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で「特定行政庁」が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て「許可」したものは、建築できる。
*建築基準法44条1項2号

2 誤り。客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館は、近隣商業地域、商業地域、準工業地域で建築することができる。
*建築基準法48条

3 正しい。建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、政令で定める昇降機の昇降路の部分又は共同住宅若しくは「老人ホーム等の共用の廊下若しくは階段」の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。
*建築基準法52条6項

4 誤り。日影による中高層の建築物の高さの制限に係る日影時間の測定は、「冬至日」の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われる。
*建築基準法56条の2第1項



【解法のテクニック】本問は、肢1と肢4は難しかったのではないかと思います。肢1は、実は平成8年 問25で一度出題されています。しかし、このときは、特に「特定行政庁の許可」の部分を問うている問題ではありませんでした。その意味で現実的には解答するのは難しかったでしょう。肢4は、全くの初出題です。えらく細かいことを聞いてくるな、という気がしましたが、解答のヒントは意外に簡単なものでした。日影ですから、「冬至日」で判断するということです。この点については、本試験でも何度も出題されている「対象区域外にある高さが10mを超える建築物で、『冬至日』において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなして、日影規制の規定を適用する。」という知識がありますが、これで「冬至日」で判断するんだ、ということが分かります。しかし、現実的には本試験の「現場」でそこまで思い付くことを要求するのは酷でしょう。したがって、肢1と肢4は「保留」にして、肢3が法改正もあったところで、それが正解であるということで解答できればそれでいいと思います。