下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和2年 問7

【動画解説】 宅建 辻説法

【問 7】 保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、保証契約は令和2年4月1日以降に締結されたものとする。

1 特定物売買における売主の保証人は、特に反対の意思表示がない限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合には、原状回復義務である既払代金の返還義務についても保証する責任がある。

2 主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担も加重され、主たる債務者が時効の利益を放棄すれば、その効力は連帯保証人に及ぶ。

3 委託を受けた保証人が主たる債務の弁済期前に債務の弁済をしたが、主たる債務者が当該保証人からの求償に対して、当該弁済日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

4 委託を受けた保証人は、履行の請求を受けた場合だけでなく、履行の請求を受けずに自発的に債務の消滅行為をする場合であっても、あらかじめ主たる債務者に通知をしなければ、同人に対する求償が制限されることがある。

【解答及び解説】

【問 7】 正解 2

1 正しい。保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。したがって、特定物売買における売主の保証人は、契約の解除による原状回復義務としての既払代金の返還義務についても保証する責任がある。
*民法447条1項

2 誤り。主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない。また、主たる債務者が時効の利益を放棄したとしても、その効力は連帯保証人には及ばない。
*民法448条2項

3 正しい。保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
*民法459条の2第1項

4 正しい。保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。したがって、この場合には求償が制限されることになる。
*民法463条1項



【解法のポイント】問2に続いて保証の問題です。保証については、肢3と肢4の求償の問題は過去問ではほとんど出題が見られません。「求償ができる」程度の出題です。したがって、肢3と肢4は「?」という感じの人が多かったと思いますが、肢2が「誤り」であることは分からないといけないので、正解は導いて下さい。