下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和2年 問1

【動画解説】 宅建 辻説法

【問 1】 Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 甲土地が共有物の分割によって公道に通じない土地となっていた場合には、Aは公道に至るために他の分割者の所有地を、償金を支払うことなく通行することができる。

2 Aは公道に至るため甲土地を囲んでいる土地を通行する権利を有するところ、Aが自動車を所有していても、自動車による通行権が認められることはない。

3 Aが、甲土地を囲んでいる土地の一部である乙土地を公道に出るための通路にする目的で賃借した後、甲土地をBに売却した場合には、乙土地の賃借権は甲土地の所有権に従たるものとして甲土地の所有権とともにBに移転する。

4 Cが甲土地を囲む土地の所有権を時効により取得した場合には、AはCが時効取得した土地を公道に至るために通行することができなくなる。

【解答及び解説】

【問 1】 正解 1

1 正しい。分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
*民法213条1項

2 誤り。他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。そして、この場合には、通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。したがって、自動車による通行が、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものであれば認められる。
*民法211条1項

3 誤り。甲地と乙地は別の土地であり、Bは、甲地の所有権を取得したからといって、乙地の賃借権を取得できるということはない。なお、地役権の場合は、所有権の従たる権利として地役権も移転するが(付従性)、隣地通行権については、このような付従性はない。

4 誤り。隣地通行権は、甲地の所有権に基づいて認められるものであり、甲土地を囲む土地が、時効取得により所有者が変わったとしても、Aの隣地通行権が消滅することはない。



【解法のポイント】本問は、第1問でいきなり過去問で出題の少ない相隣関係からの出題で驚きましたが、内容的には一般的なもので難しくなかったと思います。