下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和元年 問37

【動画解説】法律 辻説法

【問 37】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aが手付金として200万円を受領しようとする場合、Aは、Bに対して書面で法第41条に定める手付金等の保全措置を講じないことを告げれば、当該手付金について保全措置を講じる必要はない。

2 Aが手付金を受領している場合、Bが契約の履行に着手する前であっても、Aは、契約を解除することについて正当な理由がなければ、手付金の倍額を償還して契約を解除することができない。

3 Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として50万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額200万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じれば、当該中間金を受領することができる。

4 Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として500万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額650万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じたとしても、当該中間金を受領することができない。

【解答及び解説】

【問 37】 正解 3

1 誤り。宅地建物取引業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関しては、手付金等の額が代金の額の5%を超えるか、又は1,000万円を超える場合には、保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。本問では、代金の額の5%は150万円であり、保全措置を講じる必要がある。これは、Aは、Bに対して書面で保全措置を講じないことを告げた場合でも同様である。
*宅建業法41条第1項

2 誤り。宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。この場合の解除には正当な理由は不要である。
*宅建業法39条2項

3 正しい。宅地建物取引業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関しては、保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。ただし、手付金等の額が代金の額の5%以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは、保全措置は不要である。したがって、Aは中間金を受領する際には保全措置が必要となるが、既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた合計額が保全措置の対象となる。
*宅建業法41条第1項

4 誤り。宅地建物取引業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関しては、保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。ただし、手付金等の額が代金の額の5%以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは、保全措置は不要である。したがって、Aは中間金を受領する際には保全措置が必要となるが、既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた合計額について保全措置を講じれば中間金を受領できる。
*宅建業法41条第1項



【解法のポイント】今年の問題は、各肢の関係がチグハグな問題が多いです。本問も肢3と肢4は、結局金額が異なるだけで、同じ内容を問うています。