下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和元年 問7

【動画解説】法律 辻説法

【問 7】 Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約が締結された場合におけるBのAに対する代金債務(以下「本件代金債務」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bが、本件代金債務につき受領権限のないCに対して弁済した場合、Cに受領権限がないことを知らないことにつきBに過失があれば、Cが受領した代金をAに引き渡したとしても、Bの弁済は有効にならない。

2 Bが、Aの代理人と称するDに対して本件代金債務を弁済した場合、Dに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。

3 Bが、Aの相続人と称するEに対して本件代金債務を弁済した場合、Eに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。

4 Bは、本件代金債務の履行期が過ぎた場合であっても、特段の事情がない限り、甲建物の引渡しに係る履行の提供を受けていないことを理由として、Aに対して代金の支払を拒むことができる。

【解答及び解説】

【問 7】 正解 1

1 誤り。受領権者以外の者に対する弁済が有効になる場合を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。本肢では、Cが受領した代金をAに引き渡しており、債権者Aは利益を受けているので、当該弁済は有効となる。
*民法479条

2 正しい。受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。そして、この受領権者としての外観を有するものには、債権者の代理人と称するものも含まれる。
*民法478条

3 正しい。受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。そして、この受領権者としての外観を有するものには、債権者の相続人と称するものも含まれる。
*民法478条

4 正しい。売買代金と建物の引渡しは同時履行の関係にあるので、代金債務の履行期が過ぎた場合であっても、特段の事情がない限り、Bは同時履行の抗弁を主張して、Aに対して代金の支払いを拒むことができる。
*民法533条



【解法のポイント】本問は、正解肢の肢1と肢3は初出題だったと思います。その意味で難しかったのではないでしょうか。