下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成30年 問28

【動画解説】法律 辻説法

【問 28】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅地建物取引業者が、買主として、造成工事完了前の宅地の売買契約を締結しようとする場合、売主が当該造成工事に関し必要な都市計画法第29条第1項の許可を申請中であっても、当該売買契約を締結することができる。

イ 宅地建物取引業者が、買主として、宅地建物取引業者との間で宅地の売買契約を締結した場合、法第37条の規定により交付すべき書面を交付しなくてよい。

ウ 営業保証金を供託している宅地建物取引業者が、売主として、宅地建物取引業者との間で宅地の売買契約を締結しようとする場合、営業保証金を供託した供託所及びその所在地について、買主に対し説明をしなければならない。

エ 宅地建物取引業者が、宅地の売却の依頼者と媒介契約を締結した場合、当該宅地の購入の申込みがあったときは、売却の依頼者が宅地建物取引業者であっても、遅滞なく、その旨を当該依頼者に報告しなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし

【解答及び解説】

【問 28】 正解 1

ア 誤り。宅地建物取引業者は、宅地の造成に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項の許可があった後でなければ、当該工事に係る宅地につき、自ら当事者としてその売買の契約を締結してはならない。開発許可を申請しているだけでは、売買契約を締結できない。
*宅建業法36条

イ 誤り。宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買に関し、「自ら当事者」として契約を締結したときはその「相手方」に、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を交付しなければならない。したがって、宅地建物取引業者が買主として売買契約を締結した場合でも、売主に対して37条書面を交付する必要がある。また、これは宅地建物取引業者相互間の取引においても同様である。
*宅建業法37条

ウ 誤り。宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方等(「宅地建物取引業者に該当する者を除く」。)に対して、当該売買の契約が成立するまでの間に、供託所等について説明をするようにしなければならない。宅地建物取引業者は、営業保証金から還付を受けることはできないので、この説明が必要な相手方等から除かれている。
*宅建業法35条の2

エ 正しい。媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。これは、依頼者が宅地建物取引業者であっても同様である。
*宅建業法34条の2第8項

以上より、正しいものは、エのみであり、肢1が正解となる。


【解法のポイント】今年は、個数問題が少なかったですが、本問は基本的な問題で、個数問題であるということ以外に、特に難しいところはなかったと思います。