下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成30年 問27

【動画解説】法律 辻説法

【問 27】 宅地建物取引業者Aは、Bが所有し、居住している甲一戸建て住宅の売却の媒介を、また、宅地建物取引業者Cは、Dから既存住宅の購入の媒介を依頼され、それぞれ媒介契約を締結した。その後、B及びDは、それぞれA及びCの媒介により、甲住宅の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「建物状況調査」とは、法第34条の2第1項第4号に規定する調査をいうものとする。(改)

1 Aは、甲住宅の売却の依頼を受けた媒介業者として、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認しなければならない。

2 A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、甲住宅について、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況及びそれぞれの書類に記載されている内容について説明しなければならない。

3 CがDとの間で媒介契約を締結する2年前に、甲住宅は既に建物状況調査を受けていた。この場合において、A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、建物状況調査を実施している旨及びその結果の概要について説明しなければならない。

4 A及びCは、Dが宅地建物取引業者である場合であっても、法第37条に基づき交付すべき書面において、甲住宅の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項があるときにその記載を省略することはできない。

【解答及び解説】

【問 27】 正解 4

1 誤り。宅地建物取引業者は、「媒介契約」を締結したときは、遅滞なく、「当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項」を記載した書面を作成して依頼者に交付しなければならない。したがって、建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認は、媒介契約までにしなければならないのであって、甲住宅の売買契約が成立するまでではない。
*宅建業法34条の2第1項4号

2 誤り。宅地建物取引業者は、契約が成立するまでの間に「設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況」を重要事項として説明しなければならないが、それぞれの書類に記載されている内容についてまで説明する必要はない。
*宅建業法35条1項6号の2ロ

3 誤り。当該建物が既存の建物であるときは、建物状況調査(実施後「1年」(鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等にあっては2年)を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を重要事項として説明しなければならない。したがって、本肢は一戸建て住宅であるから、「2年」前の建物状況調査についてはその結果の概要を説明する必要はない。
*宅建業法35条1項6号の2、同法施行規則16条の2の2

4 正しい。37条書面の記載事項として「当該建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項」があるが、これは宅地建物取引業者相互間の取引であるからといって免除されているわけではなく、記載しなければならない。
*宅建業法37条1項2号の2


【解法のポイント】やっぱり出ました!という感じの建物状況調査の問題です。肢3なんかは細かい内容ですし、肢1と肢2もそれなりに紛らわしい問い方をしています。さすがに宅建試験だけあって、宅建業法の改正については、最初の出題だから簡単というようなことはなく、情け容赦はありません。