下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成29年 問40

【動画解説】法律 辻説法

【問 40】 宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、法の規定に違反しないものはどれか。

1 宅地建物取引業者Aは、中古マンションの売買の媒介において、当該マンションの代金の支払の時期及び引渡しの時期について、重要事項説明書に記載して説明を行ったので、37条書面には記載しなかった。

2 宅地建物取引業者である売主Bは、宅地建物取引業者Cの媒介により、宅地建物取引業者ではない買主Dと宅地の売買契約を締結した。Bは、Cと共同で作成した37条書面にCの宅地建物取引士の記名がなされていたため、その書面に、Bの宅地建物取引士をして記名をさせなかった。

3 売主である宅地建物取引業者Eの宅地建物取引士Fは、宅地建物取引業者ではない買主Gに37条書面を交付する際、Gから求められなかったので、宅地建物取引士証をGに提示せずに当該書面を交付した。

4 宅地建物取引業者Hは、宅地建物取引業者ではない売主Iから中古住宅を購入する契約を締結したが、Iが売主であるためIに37条書面を交付しなかった。

【解答及び解説】

【問 40】 正解 3

1 違反する。「代金の額並びにその支払の時期及び方法」というのは、37条書面の記載事項であり、重要事項説明書に記載して説明したからといって、37条書面の記載が不要になることはない。
*宅建業法37条1項3号

2 違反する。宅地建物取引業者は、37条書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。Bも自ら売主として売買契約を締結している以上、Bは、Cと共同で作成した37条書面にBの宅地建物取引士をして記名させなければならない。
*宅建業法37条3項

3 違反しない。37条書面の交付の際に、宅地建物取引士証の提示は要求されていない。
*宅建業法37条1項

4 違反する。37条書面は、宅地又は建物の売買に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に交付しなければならない。したがって、自ら買主となった宅地建物取引業者は、売主に対して37条書面を交付する必要がある。
*宅建業法37条1項


【解法のポイント】本問は肢3が確実に「違反しない」ということなので、正解できた人が多かったと思いますが、意外に肢4は盲点となる知識ではないかと思います。私の記憶では、宅建の本試験で、この知識が問われたことはないのではないでしょうか。そもそも宅地建物取引業の中に「自ら売買」というのがありますが、自ら売「買」ですから、自ら買主となる場合も宅地建物取引業に該当します。したがって、宅地建物取引業法の適用があります。そして、37条書面は、宅地又は建物の売買に関し、「自ら当事者」として契約を締結したときはその「相手方」に交付しなければならないと規定されています。したがって、自ら買主の宅地建物取引業者は、売主に対して37条書面を交付する必要があるわけです。なお、肢3はGから求められれば、「取引の関係者から請求があったとき」に該当し、宅地建物取引士証の提示が必要になります。