下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成29年 問31

【動画解説】法律 辻説法

【問 31】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間でマンション(代金3,000万円)の売買契約を締結しようとする場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア Bは自ら指定した自宅においてマンションの買受けの申込みをした場合においても、法第37条の2の規定に基づき、書面により買受けの申込みの撤回を行うことができる。

イ BがAに対し、法第37条の2の規定に基づき、書面により買受けの申込みの撤回を行った場合、その効力は、当該書面をAが受け取った時に生じることとなる。

ウ Aは、Bとの間で、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う違約金について300万円とする特約を定めた場合、加えて、損害賠償の予定額を600万円とする特約を定めることができる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし

【解答及び解説】

【問 31】 正解 4

ア 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、「事務所等以外」の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主は、申込みの撤回等を行うことができる。そして、買主が申し出た場合の自宅は、「事務所等」にあたり、買主は買受けの申込みの撤回を行うことができない。
*宅建業法37条の2第1項

イ 誤り。クーリング・オフにおける申込みの撤回等は、申込者等が書面を「発した時」に、その効力を生ずる。
*宅建業法37条の2第2項

ウ 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを「合算」した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはならない。本問の売買代金は3,000万円であるから、その2割は600万円である。したがって、違約金の300万円に加えて損害賠償の予定額を600万円とすれば、合算額は900万円となるので、そのような特約は無効である。
*宅建業法38条

以上より、正しいものはなく、肢4が正解となる。


【解法のポイント】この問題も、個数問題ではありますが、肢が三つで、内容的にも基本的なものなので、特に問題はないと思います。