下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成29年 問28

【動画解説】法律 辻説法

【問 28】 宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはいくつあるか。

ア Aは、法第49条に規定されている業務に関する帳簿について、業務上知り得た秘密が含まれているため、当該帳簿の閉鎖後、遅滞なく、専門業者に委託して廃棄した。

イ Aは、宅地の売却を希望するBと専任代理契約を締結した。Aは、Bの要望を踏まえ、当該代理契約に指定流通機構に登録しない旨の特約を付したため、その登録をしなかった。

ウ Aの従業者Cは、投資用マンションの販売において、勧誘に先立ちAの名称を告げず、自己の氏名及び契約締結の勧誘が目的であることを告げたうえで勧誘を行ったが、相手方から関心がない旨の意思表示があったので、勧誘の継続を断念した。

エ Aは、自ら売主として新築マンションを分譲するに当たり、売買契約の締結に際して買主から手付を受領した。その後、当該契約の当事者の双方が契約の履行に着手する前に、Aは、手付を買主に返還して、契約を一方的に解除した。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし

【解答及び解説】

【問 28】 正解 4

ア 違反する。宅地建物取引業者は、業務に関する帳簿を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、閉鎖後5年間(当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものにあっては、10年間)当該帳簿を保存しなければならない。
*宅建業法施行規則18条3項

イ 違反する。宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、一定の事項を指定流通機構に登録しなければならない。依頼者の要望があっても、登録しなければ宅建業法に違反する。なお、媒介契約の規定は、代理契約に準用されている(宅建業法34条の3)。
*宅建業法34条の2第5項

ウ 違反する。宅地建物取引業者は、当該勧誘に先立って「宅地建物取引業者の商号又は名称」及び当該勧誘を行う者の氏名並びに当該契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘してはならない。したがって、Aの名称を告げずに勧誘したことは宅建業法に違反し、これは勧誘の継続を断念した場合でも同様である。
*宅建業法施行規則16条の2第1号ハ

エ 違反する。宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその「倍額を償還」して、契約の解除をすることができる。
*宅建業法39条2項


以上より、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはなく、肢4が正解となる。


【解法のポイント】この問題も個数問題でしたが、内容的には基本的なものでした。