下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成29年 問23

【動画解説】法律 辻説法

【問 23】 所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 個人が台風により主として保養の用に供する目的で所有する別荘について受けた損失の金額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く。)は、その損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除される。

2 建物の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、不動産所得として課税される。

3 譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいうので、不動産業者である個人が営利を目的として継続的に行っている土地の譲渡による所得は、譲渡所得として課税される。

4 個人が相続(限定承認に係るものを除く。)により取得した譲渡所得の基因となる資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算については、その資産をその相続の時における価額に相当する金額により取得したものとして計算される。

【解答及び解説】

【問 23】 正解 1

1 正しい。居住者が、災害又は盗難若しくは横領により、生活に通常必要でない資産として政令で定めるものについて受けた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなされる。この「生活に通常必要でない資産として政令で定めるもの」には、「通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するもの」(所得税法施行令178条1項2号)も含まれる。
*所得税法62条

2 誤り。建物の所有を目的とする土地の賃借権(借地権)の設定のうち、その対価として支払を受ける金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、譲渡所得として課税される。不動産所得(不動産等の貸付けによる所得)ではない。
*所得税法施行令79条1項1号

3 誤り。譲渡所得とは資産の譲渡による所得であるという点は正しいが、不動産業者である個人が営利を目的として継続的に行っている土地の譲渡による所得は、たな卸資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得として、譲渡所得には含まれない。
*所得税法33条2項1号

4 誤り。居住者が相続(限定承認に係るものに「限る」。)により取得した資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。
*所得税法59条1項1号


【解法のポイント】この問題は本年度一番の難問ではなかったかと思います。ただ、肢2と肢3は過去問で出題されています。しかし、肢1(正解肢)と肢4が非常に難解で、確信を持って正解を導けた人はほとんどいないのではないかと思います。間違えても、あまり気にする必要のない問題といえるでしょう。