下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成29年 問6

【動画解説】法律 辻説法

【問 6】 Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 ①BがAの配偶者でCがAの子である場合と、②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。

2 Aの死亡後、いずれもAの子であるBとCとの間の遺産分割協議が成立しないうちにBが死亡したときは、Bに配偶者Dと子Eがいる場合であっても、Aの遺産分割についてはEが代襲相続人として分割協議を行う。

3 遺産分割協議が成立するまでの間に遺産である不動産から賃料債権が生じていて、BとCがその相続分に応じて当該賃料債権を分割単独債権として確定的に取得している場合、遺産分割協議で当該不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権につき清算する必要はない。

4 Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 3

1 誤り。①のBがAの配偶者でCがAの子である場合は、配偶者Bの法定相続分は1/2、子の相続分1/2はCが一人で相続する。②のBとCがいずれもAの子である場合は、配偶者はいないので、BとCが相続分の全部を1/2ずつ相続する。したがって、①と②では、BとCの相続分は同じとなる。
*民法900条1号

2 誤り。被相続人の子が、「相続の開始以前」に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。本肢では被相続人Aの死亡後に相続人Bが死亡しているので、Eは代襲相続をするのではない。本肢は、Bが死亡したことによって、DとEがBの相続人として分割協議を行う。
*民法887条

3 正しい。金銭債権である賃料債権は、可分債権であり、相続開始と同時に、各共同相続人の相続分に応じて分割された分割債権になる(判例)。したがって、相続人はその相続分に応じて当該賃料債権を分割単独債権として確定的に取得しているので、遺産分割協議で当該不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権につき清算する必要はない。

4 誤り。相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。共同相続人の一人が限定承認をしたからといって、他の共同相続人が限定承認をする旨を申述したとみなされるわけではない。
*民法923条


【解法のポイント】この問題も、基本的なものだったと思います。肢3がちょっと難しい感じですが、過去問で類似の問題が出題されています。