下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成29年 問2

【動画解説】法律 辻説法

【問 2】 所有権の移転又は取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aの所有する甲土地をBが時効取得した場合、Bが甲土地の所有権を取得するのは、取得時効の完成時である。

2 Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。

3 Aを売主、Bを買主として、丙土地の売買契約が締結され、代金の完済までは丙土地の所有権は移転しないとの特約が付された場合であっても、当該売買契約締結の時点で丙土地の所有権はBに移転する。

4 AがBに丁土地を売却したが、AがBの強迫を理由に売買契約を取り消した場合、丁土地の所有権はAに復帰し、初めからBに移転しなかったことになる。

【解答及び解説】

【問 2】 正解 4

1 誤り。時効の効力は、その起算日にさかのぼるので、Bが土地の所有権を取得するのは、占有を開始したときである。
*民法144条

2 誤り。不動産については、即時取得の規定は適用されないので、BがAの無権利について善意無過失であっても、Bは乙建物の所有権を取得することはできない。
*民法192条参照

3 誤り。売買契約が締結された場合に、売買契約締結時に売主から買主へ所有権が移転するのが原則であるが、これについては当事者は特約を付することができ、代金の完済までは土地の所有権は移転しないという特約があれば、それは有効であり、代金が完済されたときに所有権は移転する。
*民法176条参照

4 正しい。取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされるので、AがBの強迫を理由に売買契約を取り消した場合、丁土地の所有権はAに復帰し、初めからBに移転しなかったことになる。
*民法121条


【解法のポイント】「所有権の移転又は取得」という観点から丸ごと1問出題されるのは珍しい感じですが、内容的には簡単なものではなかったかと思います。