下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成29年 問1

【動画解説】法律 辻説法

【問 1】 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 売買契約を締結する権限を与えられた代理人は、特段の事情がない限り、相手方からその売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限を有する。

2 委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。

3 復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。

4 夫婦の一方は、個別に代理権の授権がなくとも、日常家事に関する事項について、他の一方を代理して法律行為をすることができる。

【解答及び解説】

【問 1】 正解 3

1 正しい。代理権の範囲は、授権行為(代理権を与える行為)の解釈によって決まり、売買契約を締結する代理権は、相手方から売買契約の取消の意思表示を受領する権限を含むとされる(判例)。

2 正しい。委任による代理人(任意代理人)は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときには、復代理人を選任することができる。
*民法104条

3 誤り。復代理人は、代理人に対して受領物の引渡義務を負うとともに、本人に対しても引渡義務を負う(民法106条2項)。そして、受領物を代理人に引き渡したときは、本人に対する受領物引渡義務も消滅するとされている(判例、?最判昭51.4.9)。

4 正しい。夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。この責任を負うには、個別の代理権の授与は不要である。
*民法761条


【解法のポイント】この問題は、肢2以外は、難しかったのではないでしょうか。肢1と肢3は初出題で、判例に関する問題です。肢4は、過去問に出題がありますが、内容的には難しい問題です。間違えても仕方がないかな?と感じる問題です。