下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成28年 問29

【動画解説】法律 辻説法

【問 29】 宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反するものの組合せはどれか。

ア Aは、マンションを分譲するに際して案内所を設置したが、売買契約の締結をせず、かつ、契約の申込みの受付も行わない案内所であったので、当該案内所に法第50条第1項に規定する標識を掲示しなかった。

イ Aは、建物の売買の媒介に際し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買は成立しなかった。

ウ Aは、法第49条の規定によりその事務所ごとに備えるべきこととされている業務に関する帳簿について、取引関係者から閲覧の請求を受けたが、閲覧に供さなかった。

エ Aは、自ら売主となるマンションの割賦販売の契約について、宅地建物取引業者でない買主から賦払金が支払期日までに支払われなかったので、直ちに賦払金の支払の遅延を理由として契約を解除した。

1 ア、イ
2 ア、ウ
3 ア、イ、エ
4 イ、ウ、エ

【解答及び解説】

【問 29】 正解 3

ア 違反する。宅地建物取引業者は、事務所等及び「事務所等以外」の国土交通省令で定めるその業務を行う場所ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならない。この事務所等以外の場所の中には、売買契約の締結をせず、かつ、契約の申込みの受付も行わない案内所も含まれており、このような場所でも標識の掲示は必要である。
*宅建業法50条2項1項

イ 違反する。宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為をしてはならない。これは、このような契約の締結を誘引する行為自体を禁止しており、売買が成立しなかったとしても、宅建業法に違反する。
*宅建業法47条3号

ウ 違反しない。宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備える必要があるが、この帳簿について、取引の関係者から請求があったときは、その者の閲覧に供しなければならない旨の規定はなく、閲覧させる必要はない。
*宅建業法49条

エ 違反する。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の割賦販売の契約について賦払金の支払の義務が履行されない場合においては、30日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約を解除してはならない。賦払金の支払いがない場合に「直ちに」解除することは認められていない。
*宅建業法42条

以上より、宅地建物取引業法に違反するのは、ア、イ、エであり、肢3が正解となる。


【解法のポイント】本問も、組み合わせ問題で、内容的にも基本的なものだったので、問題はないかと思います。肢ウの帳簿に閲覧の制度がないというのは、従業者名簿には閲覧の制度があることと比較して覚えておいて下さい。