下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成28年 問7

【動画解説】法律 辻説法

【問 7】 AがBから賃借する甲建物に、運送会社Cに雇用されているDが居眠り運転するトラックが突っ込んで甲建物の一部が損壊した場合(以下「本件事故」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。なお、DはCの業務として運転をしていたものとする。

ア AB間の賃貸借契約において、甲建物の滅失した部分の割合に応じ、賃料が減額される。

イ Aは、甲建物の残りの部分だけでは賃借した目的を達することができない場合、Bとの賃貸借契約を解除することができる。

ウ Cは、使用者責任に基づき、Bに対して本件事故から生じた損害を賠償した場合、Dに対して求償することができるが、その範囲が信義則上相当と認められる限度に制限される場合がある。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし
【解答及び解説】

【問 7】 正解 3

ア 正しい。賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
*民法611条1項

イ 正しい。賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
*民法611条2項

ウ 正しい。使用者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うが、この場合、使用者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。ただ、この求償権の行使は、信義則上相当と認められる限度に制限される(判例)。
*民法715条3項

以上より、正しいものはア、イ、ウの三つすべてであり、正解は肢3となる。


【解法のポイント】民法も1問程度は、「個数問題」が出題されるようになってきましたね。肢1と肢2は、初出題ではなかったかと思いますが、何となく常識的に分かる内容のような気がするとはいえ、それでも個数問題であることから、正解は難しかったのではないかと思われます。ただ、この内容は再度出題される可能性が非常に高いと思われますので、今回は間違えても仕方がないと思いますが、今後受験される方は注意して下さい。