下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成26年 問11
【問 11】 甲土地の所有者が甲土地につき、建物の所有を目的として賃貸する場合(以下「ケース①」という。)と、建物の所有を目的とせずに資材置場として賃貸する場合(以下「ケース②」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 賃貸借の存続期間を40年と定めた場合には、ケース①では書面で契約を締結しなければ期間が30年となってしまうのに対し、ケース②では口頭による合意であっても期間は40年となる。
2 ケース①では、賃借人は、甲土地の上に登記されている建物を所有している場合には、甲土地が第三者に売却されても賃借人であることを当該第三者に対抗できるが、ケース②では、甲土地が第三者に売却された場合に賃借人であることを当該第三者に対抗する方法はない。
3 期間を定めない契約を締結した後に賃貸人が甲土地を使用する事情が生じた場合において、ケース①では賃貸人が解約の申入れをしても合意がなければ契約は終了しないのに対し、ケース②では賃貸人が解約の申入れをすれば契約は申入れの日から1年を経過することによって終了する。
4 賃貸借の期間を定めた場合であって当事者が期間内に解約する権利を留保していないとき、ケース①では賃借人側は期間内であっても1年前に予告することによって中途解約することができるのに対し、ケース②では賃貸人も賃借人もいつでも一方的に中途解約することができる。
【解答及び解説】
【問 11】 正解 3
1 誤り。ケース①は、借地借家法の適用があるので、賃貸借の存続期間を40年と定めた場合には、40年となる。ケース②は建物所有を目的としないので民法が適用され、民法上の賃貸借の最長期間は50年であるから、40年という期間は、そのまま認められる。
*借地借家法3条、民法604条
2 誤り。ケース①は、借地借家法の適用があり、借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができるので、正しい。ケース②は建物所有を目的とせず民法が適用され、不動産の賃貸借は、これを「登記」したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずるので、第三者に対抗する方法がある。
*借地借家法10条1項、民法605条
3 正しい。ケース①は、借地借家法の適用があり、借地権の存続期間は、期間の定めがない場合は30年とされているので、その期間内は当事者の合意がなければ契約は終了しない。ケース②は建物所有を目的とせず民法が適用されるので、当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができ、土地の賃貸借においては、解約の申入れの日から1年を経過することによって終了する。
*借地借家法3条、民法617条1項1号
4 誤り。ケース①は、借地借家法の適用があるので、当事者が期間内に解約する権利を留保していないのであれば、中途解約はできない。ケース②は建物所有を目的とせず民法が適用されるが、当事者の一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、中途解約できるが、そのような中途解約の権利を留保していなければ、中途解約できない。
*借地借家法3条、民法618条
【解法のポイント】この問題は、基本的な問題だったと思いますが、問われ方がややこしいので、気を付けて下さい。出題方法に惑わされなかった方は問題ないと思います。