下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成26年 問10
【問 10】 Aには、父のみを同じくする兄Bと、両親を同じくする弟C及び弟Dがいたが、C及びDは、Aより先に死亡した。Aの両親は既に死亡しており、Aには内縁の妻Eがいるが、子はいない。Cには子F及び子Gが、Dには子Hがいる。Aが、平成26年8月1日に遺言を残さずに死亡した場合の相続財産の法定相続分として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Eが2分の1、Bが6分の1、Fが9分の1、Gが9分の1、Hが9分の1である。
2 Bが3分の1、Fが9分の2、Gが9分の2、Hが9分の2である。
3 Bが5分の1、Fが5分の1、Gが5分の1、Hが5分の2である。
4 Bが5分の1、Fが15分の4、Gが15分の4、Hが15分の4である。
【解答及び解説】
次に、Aには子供がいないので、第一順位の相続人はなく、また、両親は既に死亡しているので、第二順位の相続人もいない。
そこで、兄弟姉妹が相続人となるが、兄弟姉妹には代襲相続が起こるので、相続人はB、F、G、Hとなる。
これらの者の相続分を考えると、まず、代襲相続は被代襲者の相続分を代襲者が相続するので、FとGはCの相続分を代襲することになる。そして、兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとするが、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
以上より、B:C:D=1:2:2となり、B=1/5、C=2/5、D=2/5となり、FとGはCの2/5を平等に分けるので、F=1/5、G=1/5となり、HはDの2/5をそのまま代襲相続する。
以上より、B=1/5、F=1/5、G=1/5、H=2/5となり、肢3が正解となる。
【問 10】 正解 3
Aには、内縁の妻Eがいるが、相続を受けることができる配偶者は法律上の配偶者に限るので、Eには相続分はない。次に、Aには子供がいないので、第一順位の相続人はなく、また、両親は既に死亡しているので、第二順位の相続人もいない。
そこで、兄弟姉妹が相続人となるが、兄弟姉妹には代襲相続が起こるので、相続人はB、F、G、Hとなる。
これらの者の相続分を考えると、まず、代襲相続は被代襲者の相続分を代襲者が相続するので、FとGはCの相続分を代襲することになる。そして、兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとするが、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
以上より、B:C:D=1:2:2となり、B=1/5、C=2/5、D=2/5となり、FとGはCの2/5を平等に分けるので、F=1/5、G=1/5となり、HはDの2/5をそのまま代襲相続する。
以上より、B=1/5、F=1/5、G=1/5、H=2/5となり、肢3が正解となる。
*民法900条、901条2項
【解法のポイント】兄弟姉妹の相続分について、父母の一方のみを同じくするか、父母の双方を同じくするかの違いで相続分が異なるというのは、初めての出題だと思います。これが規定されている民法900条4号は、嫡出子と非嫡出子の相続分が同じになったという法改正が今年から出題範囲になりましたので、当然そこの出題が予想されるところでした。ところが、同じところに規定されている「改正されていない部分」を出題してきましたね。これは私の個人的な感想ですが、今年の問題は意図的に出題予想を外すような問題が出されていたような気がします。たとえば、普通ならば当然予想される不動産鑑定評価ではなく、地価公示法を出題したりしていました。ここに出題者の意図が見える気がします。「変にヤマを張るな!普通にまんべんなく勉強しろ!」ということですね。こういう出題者の意図は素直に聞いた方がいいです。合格する秘訣は、各範囲を「まんべんなく」勉強することですから。