下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成26年 問7
【問 7】 賃貸人Aから賃借人Bが借りたA所有の甲土地の上に、Bが乙建物を所有する場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Bは、自己名義で乙建物の保存登記をしているものとする。
1 BがAに無断で乙建物をCに月額10万円の賃料で貸した場合、Aは、借地の無断転貸を理由に、甲土地の賃貸借契約を解除することができる。
2 Cが甲土地を不法占拠してBの土地利用を妨害している場合、Bは、Aの有する甲土地の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使してCの妨害の排除を求めることができるほか、自己の有する甲土地の賃借権に基づいてCの妨害の排除を求めることができる。
3 BがAの承諾を得て甲土地を月額15万円の賃料でCに転貸した場合、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行で解除されても、AはCに解除を対抗することができない。
4 AB間で賃料の支払時期について特約がない場合、Bは、当月末日までに、翌月分の賃料を支払わなければならない。
【解答及び解説】
【問 7】 正解 2
1 誤り。借地上の建物の「譲渡」は、借地権の転貸に該当するが、借地上の建物の「賃貸」は、借地権の転貸に該当しないので、Aは甲土地の賃貸借契約を解除することはできない。
*民法612条
2 正しい。賃借人は、自己の土地を不法占拠している者に対して、賃貸人の所有権に基づく妨害排除請求を代位行使して妨害の排除を求めることができる(債権者代位権の転用)。また、「対抗力のある」賃借権を有する者は、自己の賃借権に基づいて不法占拠者に妨害排除請求をすることができる(民法605条の4第1号)。本問では、Bは借地上に登記ある建物を所有しているので、Bの借地権には対抗力がある。
*民法605条の4第1号
3 誤り。適法な転貸借がなされている場合において、原賃貸借が賃借人の債務不履行によって解除された場合は、賃貸人は原賃貸借契約の解除を転借人に対抗することができる。
4 誤り。賃料は、宅地については毎月末に、支払わなければならない。つまり、後払いであり、当月末日までに「翌月」分の賃料を支払うわけではない。
*民法614条
【解法のポイント】肢2の債権者代位権の転用は過去問の出題範囲でしたが、賃借権に基づく妨害排除請求は初出題です。肢4は基本的な条文かもしれませんが、世間で行われている賃貸借契約とは異なるもので、「常識」で考えると間違えるでしょうね。