下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成26年 問6
【問 6】 Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引渡しを受けた建物をCに対して売却した。本件建物に瑕疵があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Cは、売買契約の締結の当時、本件建物に瑕疵があることを知っていた場合には、瑕疵の存在を知ってから1年以内であっても、Cは売買契約を解除することはできない。
2 Bが建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったために本件建物に基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、当該瑕疵によって損害を被ったCは、特段の事情がない限り、Bに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
3 CがBに対して本件建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、当該請求ができる期間は、Cが瑕疵の存在に気付いてから1年以内である。
4 本件建物に存在している瑕疵のために請負契約を締結した目的を達成することができない場合、AはBとの契約を一方的に解除することができない。
【解答及び解説】
【問 6】 正解 2
1 誤り。引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は契約を解除することができる。買主がこの解除権を行使するには、善意である必要はない。
*民法564条
2 正しい。故意又は過失によって他人に損害を与えた者は、不法行為責任を負う義務があり、Bには建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠っており過失が認められるので、CはBに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
*民法709条
3 誤り。不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から「3年」間行使しないときは、時効によって消滅する。「1年」ではない。
*民法724条1号
4 誤り。請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したときは、注文者は、契約の解除をすることができる。これは、目的物が建物その他土地の工作物である場合においても同様である。
*民法564条
【解法のポイント】本問の正解肢の肢2は一般的な不法行為責任です。なお、CからBに対しては、請負契約に基づく担保責任を追及することはできません。