下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成26年 問2

【動画解説】法律 辻説法

【問 2】 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア 代理権を有しない者がした契約を本人が追認する場合、その契約の効力は、別段の意思表示がない限り、追認をした時から将来に向かって生ずる。

イ 不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において当該不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用することができる。

ウ 代理人は、行為能力者であることを要しないが、代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅する。

エ 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
【解答及び解説】

【問 2】 正解 2

ア 誤り。無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時に「さかのぼって」その効力を生ずる。追認をした時からではない。
*民法116条

イ 正しい。代理人がその権限外の行為をした場合において、相手方が「代理人」の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、その責任を負う(権限外の行為の表見代理)。この規定は、代理人が「本人」の名において当該不動産を売却した場合に、相手方において「本人」自身の行為であると信じた場合について類推適用されている(最判昭44.12.19)。
*民法110条

ウ 正しい。代理人は、行為能力者であることを要しない。また、代理権の消滅原因として、代理人が後見開始の審判を受けたことというのがある。つまり、代理人の選任時点では行為能力を要しないが、行為能力のある代理人が後に成年被後見人となった場合は、代理権は消滅する。
*民法102条、111条1項2号

エ 誤り。代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、「代理人」について決するものとする。
*民法101条1項

以上より、誤っているものは、アとエの二つであり、肢2が正解となる。


【解法のポイント】いよいよ権利関係にも「個数問題」が導入されました。今後は宅建業法(及び法令上の制限)だけでなく、権利関係の個数問題も「覚悟」しておく必要があります。肢イは常識的に分かると思いますが、なにせ判例の問題ですから、この肢がネックでしょう。肢ウは、面白い観点からの出題だったと思います。