下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成25年 問38

【動画解説】法律 辻説法

【問 38】 宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア A社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の契約不適合についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。

イ A社は、Bとの間における新築分譲マンションの売買契約(代金3,500万円)の締結に際して、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額と違約金の合計額を700万円とする特約を定めることができる。

ウ A社は、Bとの間における土地付建物の売買契約の締結に当たり、手付金100万円及び中間金200万円を受領する旨の約定を設けた際、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払い、また、買主は売主に支払済みの手付金及び中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約を定めた。この特約は有効である。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし
【解答及び解説】

【問 38】 正解 2

ア 誤り。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の期間については、買主が担保責任を追及するために契約不適合を通知すべき期間を、その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約は認められるが、民法では契約不適合の内容を「雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の契約不適合」に限定していないので、この点は買主に不利であり無効である。
*宅建業法40条

イ 正しい。宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えなければよいので、700万円はちょうど2割であり当該特約は有効である。
*宅建業法38条

ウ 誤り。宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。本肢では、買主は手付金のみならず中間金も放棄しなければ契約を解除できないので、買主に不利であり、当該特約は無効である。
*宅建業法39条2項

以上より、誤っているものはアとイであり、正解は肢2となる。


【解法のポイント】この問題も個数問題ですが、ミスをしない限り、大丈夫ではなかったかと思います。