宅建 過去問解説 平成25年 問14
【じっくり解説】
この問題に関する条文は、不動産登記法30条です。
「表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。」
この問題も、一部省略がありますが、それ以外は一言一句条文と同じ文章です。したがって、正解は「正しい」ということになります。ただ、この条文の具体的な意味が分かりにくいと思います。問題を解くときには、何となく「正しそうな気がする」けれども、「?」という感じではないでしょうか。
もともと最初に建物等を建てた場合は、表示の登記を申請します。本問(本条)は、「表題部所有者又は所有権の登記名義人」というのが主語になっていますので、この不動産の表示の登記はすでになされているのは分かると思います。
すでに表示の登記がなされている不動産について「表示に関する登記の申請人となることができる場合」というのは、一体どんな場合なんでしょう。これは、土地の分筆や合筆を行う場合などです。分筆や合筆によって、あらたな土地の表示の登記の申請が必要になります。
そこで、「表題部所有者又は所有権の登記名義人」が土地の分筆の登記に伴い表示の登記の申請をしようとしても、すでにこの「表題部所有者又は所有権の登記名義人」が死亡していたとします。そうすると、本来ならば、被相続人名義の土地について、相続による移転登記をした上で、分筆登記の申請を行うということになります。しかし、そんなことはしなくても、相続人その他の一般承継人が、当該表示に関する登記を申請することができるとしたのが本条です。
従来から実務上、相続人からの分筆や合筆の登記申請も認めていたようですが、それをはっきり認めたのが本条になります。ということで、理解もできたと思いますので、暗記もしやすくなったのではないかと思います。
【じっくり解説】
実は、この問題は平成19年問16肢2にも全く同一の文章で出題されています。なぜ全く同一の文章の問題になったかというと、条文そのままの出題だからです。
不動産登記法65条です。「共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない。」
このように条文そのままの出題は、往々にして、全く同一文章の出題になってしまいます。ということで、この問題の正解は「正しい」ということになります。
さて、この条文の解説をしますと、「共有物分割禁止の定め」というのは、民法で勉強しますので、お分かりかと思います。
共有物は、自由に分割できるのが原則ですが、共有者は5年を超えない範囲で共有物分割禁止の定めというのをすることができます(民法256条)。
本条の「共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記」という表現は分かりにくい気がしますが、これは一旦共有名義で登記された不動産について、その後共有者が共有物分割禁止の定めをした場合には、その旨の登記をしますが、これが「共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記」です。
この「共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記」というのを登記するときには、共有者が話し合って分割禁止を定めているわけで、誰が登記権利者で、誰が登記義務者かはっきりしません。
そこで、共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない旨を定めたのが本条だというわけです。
本日の内容は、簡単でしたが、意味が分かれば覚えやすいと思いますので、参考にして下さい。