下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成25年 問5
【問 5】 抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 債権者が抵当権の実行として担保不動産の競売手続をする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要があるが、対象不動産に関して発生した賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要はない。
2 抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。
3 対象不動産について第三者が不法に占有している場合、抵当権は、抵当権設定者から抵当権者に対して占有を移転させるものではないので、事情にかかわらず抵当権者が当該占有者に対して妨害排除請求をすることはできない。
4 抵当権について登記がされた後は、抵当権の順位を変更することはできない。
【解答及び解説】
【問 5】 正解 2
1 誤り。抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。したがって、賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要がある。
*民法371条
2 正しい。借地上の建物に設定した抵当権の効力は、特段の事情がない限り、建物の従たる権利として当該建物の借地権についても及ぶ。
*民法370条参照
3 誤り。抵当権は、抵当権設定者から抵当権者に対して占有を移転させるものではないが、最終的には目的物を競売にかけて、その交換価値を把握しているので、抵当目的物について第三者が不法に占有していることにより、目的物の価値が減少するような場合には、抵当権者が当該占有者に対して妨害排除請求をすることができる場合もある。
*民法369条1項
4 誤り。抵当権について登記がされた後であっても、利害関係を有する者の承諾があれば、各抵当権者の合意によって抵当権の順位を変更することができる。
*民法374条1項
【解法のポイント】これは、肢2が基本的な問題なので、正解は導けたと思います。