下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成25年 問3

【問 3】 甲土地の所有者Aが、他人が所有している土地を通行することに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない場合、Aは、公道に出るために甲土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。

2 甲土地が共有物分割によって公道に通じなくなった場合、Aは、公道に出るために、通行のための償金を支払うことなく、他の分割者の土地を通行することができる。

3 甲土地が公道に通じているか否かにかかわらず、他人が所有している土地を通行するために当該土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合、Aは当該土地を通行することができる。

4 甲土地の隣接地の所有者が自らが使用するために当該隣接地内に通路を開設し、Aもその通路を利用し続けると、甲土地が公道に通じていない場合には、Aは隣接地に関して時効によって通行地役権を取得することがある。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 4

1 正しい。他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができるが、通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならないので、甲土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。
*民法211条1項

2 正しい。分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
*民法213条1項

3 正しい。他人が所有している土地を通行するために当該土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合には、当然賃貸借契約に基づく権利として、当該土地を通行することができる。
*民法601条

4 誤り。地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。たとえば通路を開設して通行するような場合であるが、この通路の開設は、要役地所有者自身によってなされたことを要するとされている(判例)。
*民法283条


【解法のポイント】この問題も、肢4は過去問に出題のない範囲だと思いますので、消去法で肢4を選択するしかないでしょう。この問題については、肢1~肢3が非常に簡単だったので、それが救いですね。