下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成24年 問31
【問 31】 宅地建物取引業者A社が宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、法の規定に違反するものはどれか。
1 A社は、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主との間で宅地の売買契約を締結した。この際、当該買主の代理として宅地建物取引業者B社が関与していたことから、37条書面を買主に加えてB社へも交付した。
2 A社は、宅地建物取引業者C社が所有する建物について、宅地建物取引業者でない買主から購入の媒介の依頼を受け、当該建物の売買契約を成立させた。この際、C社と当該買主との間では、C社が法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じており、A社もそのことを知っていたが、37条書面には当該措置の内容を記載しなかった。
3 A社は、建築工事完了前の建物の売買を媒介し、当該売買契約を成立させた。この際、37条書面に記載する当該建物を特定するために必要な表示については、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書があったため、当該図書の交付により行った。
4 A社は、居住用建物の貸借を媒介し、当該賃貸借契約を成立させた。この際、当該建物の引渡しの時期に関する定めがあったが、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において、既に借主へ伝達していたことから、37条書面にはその内容を記載しなかった。
【解答及び解説】
【問 31】 正解 4
1 違反しない。宅地建物取引業者は、37条書面を契約の両当事者に交付しなければならないので、本肢では、A社は、買主に対してのみ37条書面を交付すればよい。しかし、買主の代理業者に対して交付することが宅地建物取引業法に違反するというわけではない。
*宅建業法37条1項
2 違反しない。手付金等の保全措置の概要というのは、35条書面の記載事項であるが、37条書面の記載事項ではない。
*宅建業法37条1項参照
3 違反しない。37条書面には「物件を特定するために必要な表示」を記載しなければならないが、重要事項の説明において使用した図書であっても、書面の形で表示されていればよい。
*宅建業法37条1項2号
4 違反する。建物の貸借の場合においても「宅地又は建物の引渡しの時期」というのは、必要的記載事項であり、重要事項の説明において、既に借主へ伝達していたとしても、再度37条書面に記載しなければならない。
*宅建業法37条2項1号
【解法のポイント】これは基本的な問題だと思います。肢1と肢3でちょっと考え込んだ人でも、肢4が正解であることは、すぐに分かったでしょう。