下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成24年 問14

【動画解説】法律 辻説法

【問 14】 不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。

2 承役地についてする地役権の設定の登記は、要役地に所有権の登記がない場合においても、することができる。

3 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。

4 不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。

【解答及び解説】

【問 14】 正解 2

1 正しい。登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。
*不動産登記法17条1号

2 誤り。要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の登記をすることができない。
*不動産登記法80条3項

3 正しい。区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。

【じっくり解説】

この問題は、典型的な条文そのままの問題ですから、「正しい」ということになります。

条文は、不動産登記法47条2項ですが、条文のそのままの問題だから、条文を引用しても仕方がない気がしますが、不動産登記法47条は第1項もそのまま出題される可能性があるので、第1項と第2項を両方引用し、その解説をしましょう。

不動産登記法47条(建物の表題登記の申請)
第47条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
2 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。

まず、第1項では表題登記を申請する者と、申請時期が規定されています。申請時期は、「1月」以内に表題登記を申請しなければいけませんが、これは数字も含めて必須の知識です。

そして、申請者は、
1.新築した建物の所有権を取得した者
2.区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者
ということになります。

1.は、分かりやすいでしょう。建物を新築した者です。

2.は「区分建物以外」の表題登記がない建物の所有権を取得した者ということですから、建物の購入者ということですが、ここでは「区分建物」が除かれています。

つまり、区分建物は2.のパターンが使えないということです。したがって、1.だけなので、建物を新築した者、つまり分譲業者のみが表題登記を申請できます。これまた宅建では必須の知識です。実は、それは第48条1項に再度規定されています。

ただ、これでは分譲業者が表題登記をしてくれないと困ります。そこで、区分建物の購入者は、自分の名前では表題登記を申請できませんが、分譲業者を代位して表題登記を申請することはできます。

次に困るパターンとしては、分譲業者が区分建物を新築した後、表題登記をしないうちに、相続その他の一般承継があったときです。

このような区分建物を購入した者は、2.のパターンが使えない以上、自ら表題登記を申請するわけにはいきません。かといって、被承継人(分譲業者)を代位して表題登記を申請しようにも、被承継人が死亡していてできません。

そこで、本条第2項で、「一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる」という規定が必要になるわけです。

以上で、この条文の意味がお分かりいただけたと思うので、暗記もしやすくなったと思います。

*不動産登記法47条2項

4 正しい。不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。
*不動産登記法118条1項


【解法のポイント】不動産登記法の問題というのは、最近は条文そのままという問題が多いですね。この問題もその典型です。ただ、この条文そのまま、というのはなかなか難しいですね。