下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成24年 問3

【問 3】 次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。

1 意思能力を欠く状態でなされた意思表示が無効である旨

2 契約締結に当たって当事者が基礎とした事情に変更が生じた場合に、当事者は契約の再交渉を求めることができる旨

3 保証契約は、書面でしなければその効力を生じない旨

4 物の瑕疵とは、目的物が備えるべき性質、品質を備えていないことである旨

【解答及び解説】

【問 3】 正解 1及び3

1 規定されている。意思表示が法律的な効果を生じるには意思能力が必要であり、意思能力を欠く状態でなされた意思表示が無効であることは、民法に規定はないが、当然であるとされている。
*民法3条の2

2 規定されていない。契約締結に当たって当事者が基礎とした事情に変更が生じた場合に、当事者は契約の再交渉を求めることができることを事情変更の原則というが、これは信義則を根拠に認められているが、この原則を一般的に定めた民法の規定はない。


3 規定されている。保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じないが、これは民法に規定がある。
*民法446条2項

4 規定されていない。民法には、物の「瑕疵」についての規定はあるが、その「瑕疵」の意味は、「目的物が備えるべき性質、品質を備えていないこと」であるというふうに解釈されているが、それは民法に直接の規定があるわけではない。


【解法のポイント】今年の権利関係、特に民法の問題についてですが、ストレートに覚えている内容を問うのではなく、その場で考えて答えを出すような問題が多かったように思います。本問もその一つです。このような問題は、柔軟に対応する必要がありますが、本問でいうと、民法でわざわざ規定しないといけないような条文ということになると、ナンバーワンに挙げられるのは、肢3の保証契約を「書面」でするという点でしょう。保証契約を書面でするというようなことを、判例で決めたり、解釈で決めたりするのは不自然です。他の肢は、判例なり、解釈なりで認められる可能性があるようなものばかりです。

※本問は、令和2年の民法改正により、肢1が「規定されていない」→「規定されている」に変わったため、正解が2つになっています。