下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成23年 問42

【問 42】 宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)がマンション(100戸)を分譲する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア A社が宅地建物取引業者B社にマンションの販売代理を一括して依頼する場合、B社が設置する案内所について、A社は法第50条第2項の規定に基づく業務を行う場所の届出を行わなければならない。

イ A社は、売買契約の締結をせず、契約の申込みの受付も行わない案内所を設置する場合、法第50条第1項に規定する標識を掲示する必要はない。

ウ A社がマンションの分譲のために案内所を乙県に設置する場合には、業務を開始する日の10日前までに、乙県知事に法第50条第2項の規定に基づく業務を行う場所の届出を行わなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし
【解答及び解説】

【問 42】 正解 1

ア 誤り。法第50条第2項の規定に基づく業務を行う場所の届出は、案内所を設置した宅地建物取引業者が行わなければならないので、A社ではなく、B社が行うことになる。
*宅建業法50条2項

イ 誤り。宅地建物取引業者に標識の掲示が義務付けられている案内所は、売買契約の締結や契約の申込みの受付を行うか否かにかかわらない。したがって、売買契約の締結をせず、契約の申込みの受付も行わない案内所についても標識を掲示する必要がある。
*宅建業法施行規則19条1項

ウ 正しい。宅地建物取引業者は、あらかじめ、契約の締結等を予定している案内所について一定の事項を、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及びその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
※本問については、不動産適正取引推進機構の発表により正解は肢1とされており、この肢は「正しい」とされているようです。しかし、本肢の案内所は、契約の締結等を予定しているか不明であり、契約の締結を予定していないのであれば、乙県知事にも届け出る必要はありませんので疑問の残る問題となっています。
*宅建業法50条2項

以上より、正しいものは肢ウの一つであり、正解は肢1となる。


【解法のポイント】本年度の宅建本試験の【問42】については、正解を肢1としているところが多いようです。ただ、この点について肢ウが「誤り」で、肢4を正解とする考えもあるようです。この問題について、みんな問題にしているのは、私の知る限り、届出先の点だけのようです。つまり、「乙県知事に届出」を行う必要があるのは間違いないので、肢ウは「○」という意見が優勢です。ただ、甲県知事にも乙県知事にも届出を行わなければならないという意味では、「×」ということになります。この観点からだけいうと、文章的にはどちらとも言えそうです。しかし、別の観点からいうと、肢ウの案内所には、契約の締結等を予定しているかどうかが記載されていません。この問題をもう一度よく見てもらうと、「マンションの分譲のために案内所」としか書かれていません。この問題で、肢イには、契約の締結等を予定しているかどうかを問題にしているので、これがちょっと気になります。肢ウは、契約の締結を予定していない案内所もあるわけだから、必ずしも届出が必要とはいえないのではないか?という疑問です。同様の問題が、この問題の肢アにもありますが、肢アは契約の締結等を予定しているかどうかにかかわらず間違いですので、問題は生じません。しかし、この問題は肢イで案内所について契約の締結を予定しているかを問題にしているにもかかわらず、肢ウは、契約の締結を予定しているか記載されていないので、案内所だからといって必ずしも届出が必要だとは限らない。したがって、「×」ということも考えられると言うのか、その方が自然ではないかと思います。また、「分譲のための案内所」という言葉だけで、契約の締結等を予定しているとは読めないのではないかと思います。
結局は、この問題については、不動産適正取引推進機構の発表により正解は肢1とされており、肢ウは「正しい」肢とされているものと思われます。