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宅建 過去問解説 平成23年 問39

【問 39】 宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。

1 A社は、宅地建物取引業者である買主B社との間で売買契約を締結したが、B社は支払期日までに代金を支払うことができなかった。A社は、B社の債務不履行を理由とする契約解除を行い、契約書の違約金の定めに基づき、B社から1,000万円の違約金を受け取った。

2 A社は、宅地建物取引業者でない買主Cとの間で、割賦販売の契約を締結したが、Cが賦払金の支払を遅延した。A社は20日の期間を定めて書面にて支払を催告したが、Cがその期間内に賦払金を支払わなかったため、契約を解除した。

3 A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの間で、割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えたが、Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。

4 宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買について、A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、担保責任について、「契約不適合による契約の解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過した後に契約不適合を通知したときはできない」とする旨の特約を定めていた。

【解答及び解説】

【問 39】 正解 2

1 違反しない。宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはならないが、この規定は宅地建物取引業者相互間の取引には適用されない。したがって、Aは、宅地建物取引業者Bから1,000万円の違約金を受け取ることができる。
*宅建業法38条

2 違反する。宅地建物取引業者は、売主となる宅地又は建物の割賦販売の契約について賦払金の支払の義務が履行されない場合においては、「30日」以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約を解除し、又は支払時期の到来していない賦払金の支払を請求することができない。したがって、「20日」の期間を定めて書面で催告しても解除できない。
*宅建業法42条

3 違反しない。宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地又は建物の割賦販売を行なった場合には、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまでに、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならないが、代金の額の10分の3を超える額の金銭の支払を受けていない場合にあっては、代金の額の10分の3をこえる額の金銭の支払を受けるまでは、登記を移転しないことができる。
*宅建業法43条1項

4 違反しない。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の担保責任を負う期間について、その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないが、この規定は宅地建物取引業者相互間の取引には適用されない。したがって、Aは、宅地建物取引業者Eとの間で本肢のような特約をすることも認められる。
*宅建業法40条


【解法のポイント】本問は、非常に基本的な問題だったと思います。注意するとすれば、宅地建物取引業者相互間の取引かどうかを見落とさないことです。