下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成23年 問33

【問 33】 宅地建物取引業者A社は、自ら売主として宅地建物取引業者である買主B社と宅地の売買について交渉したところ、大筋の合意を得て、重要事項説明を翌日に行うこととした。しかし、重要事項説明の予定日の朝、A社の唯一の宅地建物取引士である甲が交通事故に遭い、5日間入院することとなった。この場合におけるA社の行為に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。

1 A社の代表者である乙は、宅地建物取引士ではないが契約締結権限をもつ代表者であるため、甲を代理してB社の代表者丙に対し、甲の宅地建物取引士証を提示した上、重要事項説明を行った。なお、乙は宅地建物取引業に30年間携わったベテランであったこともあり、説明の内容に落ち度はなかった。

2 A社の従業者である丁は、有効期間は満了しているが、宅地建物取引士証を持っていたため、丁がその宅地建物取引士証を提示した上、B社の代表者丙に重要事項説明を行った。

3 事情を知ったB社の代表者丙から、「自分も宅地建物取引業に長年携わっているので、重要事項説明は契約後でも構わない」という申出があったため、重要事項説明は契約締結後に退院した甲が行った。

4 事情を知ったB社と合意の上、A社は重要事項を記載した書面を交付するにとどめ、退院後、契約締結前に甲が重要事項説明を行った。

【解答及び解説】

【問 33】 正解 1、2、3及び4

1 違反しない。宅地又は建物の取得者が宅地建物取引業者である場合、重要事項の説明書の交付は必要であるが、重要事項の「説明」は不要である。したがって、宅地建物取引士でない乙が重要事項の説明を行っても宅地建物取引業法に違反しない。
*宅建業法35条1項

2 違反しない。宅地又は建物の取得者が宅地建物取引業者である場合、重要事項の説明書の交付は必要であるが、重要事項の「説明」はそもそも不要である。したがって、宅地建物取引士証の有効期間が満了しているため、宅地建物取引士とはいえない丁が、重要事項の説明を行っても宅地建物取引業法に違反しない。
*宅建業法35条1項

3 違反しない。宅地又は建物の取得者が宅地建物取引業者である場合、重要事項の説明書の交付は必要であるが、重要事項の「説明」はそもそも不要である。したがって、重要事項説明を契約締結後に行っても宅建業法には違反しない。
*宅建業法35条1項

4 違反しない。重要事項の説明は、書面を交付した上で行わなければならないが、書面の交付は宅地建物取引士が行う必要はないので、本肢は、書面の交付→説明→契約成立の順を取っており、宅地建物取引業法に違反しない。なお、本肢は買主が宅地建物取引業者であるから、重要事項の説明書の交付は必要だが、重要事項の「説明」は不要であるが、重要事項の説明をすること自体は差し支えない。
*宅建業法35条1項


【解法のポイント】本問は、事例が非常に具体的ですが、内容的には平易なものだと思います。
※本問は、平成29年法改正により、肢1・肢2・肢3は従来の「違反する」→「違反しない」となり、すべての肢が正解となります。