下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成23年 問16
【問 16】 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 都市計画区域は、市又は人口、就業者数その他の要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他の現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を当該市町村の区域の区域内に限り指定するものときれている。
2 準都市計画区域については、都市計画に、高度地区を定めることはできるが、高度利用地区を定めることはできないものとされている。
3 都市計画区域については、区域内のすべての区域において、都市計画に、用途地域を定めるとともに、その他の地域地区で必要なものを定めるものとされている。
4 都市計画区域については、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、都市計画に必ず市街化区域と市街化調整区域との区分を定めなければならない。
【解答及び解説】
【問 16】 正解 2
1 誤り。都道府県は、市又は人口、就業者数その他の事項が政令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他の現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。この場合において、必要があるときは、当該「市町村の区域外」にわたり、都市計画区域を指定することができる。
*都市計画法5条1項
2 正しい。準都市計画区域については、都市計画に用途地域や高度地区など8種類の地域地区しか定めることができず、高度利用地区は定めることができない。
【じっくり解説】
本問に関する都市計画法の条文は、条文の引用がややこしいので、私が読みやすく書き換えたものを書いておきます。
都市計画法8条2項
「準都市計画区域については、都市計画に、1.用途地域、2.特別用途地区、3.特定用途制限地域、4.高度地区、5.景観地区、6.風致地区、7.都市緑地法第5条の規定による緑地保全地域、8.文化財保護法第143条第1項の規定による伝統的建造物群保存地区を定めることができる。」
この規定の中に「高度地区」というのは入っていますが、「高度利用地区」というのは入っていません。したがって、本問の正解は「正しい」ということになります。
準都市計画区域というのは、都市計画区域と異なり、「一定の」都市計画の内容を実行できる区域ということになりますが、この準都市計画区域でも行える都市計画の内容としてこの8種類の地域・区域を覚えられる人はそのまま覚えればいいと思いますが、普通は覚える内容が多くなると大変なので、こういう部分は、もっと「軽く」さばきたいところです。もともと、準都市計画区域というのは、都市計画区域外であっても、高速道路のインターチェンジ等がある場所は、開発が進んで困る場合があるということで指定されるものです。そして、高度利用地区は、土地の高度利用(有効利用)を図る地区です。したがって、準都市計画区域で、「土地の高度利用をしろ!」というのはおかしな話です。
以上をまとめますと、準都市計画区域では一定の地区・区域を定めることができるが、土地の高度利用を図る「高度利用地区」は定めることができない、というのが一番効率的な覚え方です。
*都市計画法8条2項
3 誤り。区域内のすべての区域において、都市計画に用途地域を定める必要があるのは、市街化区域であり、都市計画区域内であっても、市街化調整区域などは原則として用途地域を定めない。
*都市計画法13条1項7項
4 誤り。都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分を定めることが「できる」。この区域区分を「定めなければならない」わけではない。
*都市計画法7条1項
【解法のテクニック】本問の肢2は、細かい問題ですね。ここまで覚えている人は少ないと思いますが、他の3つの肢が過去問の範囲でできなければいけないという点と、肢2も少し考えれば分かると思います。高度利用地区というのは、土地の高度利用(有効利用)を図る地区です。ところが、準都市計画区域というのは、都市計画区域外であっても、高速道路のインターチェンジ等がある場所は、開発されて困る場合があるということで指定されるものです。ここに、土地の高度利用を図る地区を指定するというのはおかしい!ということになります。したがって、この問題は「消去法でいくと肢2になるな。肢2も内容的に考えて、「○」でよさそうな感じだ。」ということで、肢2を選んで欲しいところです。