下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成23年 問8

【問 8】 AがBに対して金銭の支払いを求める場合における次の記述のうち、AのBに対する債権が契約に基づいて発生するものはどれか。

1 青信号で横断歩道を歩いていたAが、赤信号を無視した自動車にはねられてケガをした。運転者はBに雇用されていて、勤務時間中、仕事のために自動車を運転していた。Aが治療費として病院に支払った50万円の支払いをBに対して求める場合。

2 Aは、B所有の甲不動産の売却について、売買契約が締結されるに至った場合には売買代金の2%の報酬の支払いを受けるとして、Bから買主のあっせんの依頼を受けた。Aがあっせんした買主Cとの間で1,000万円の売買契約が成立したのでAがBに対して報酬として20万円の支払いを求める場合。

3 Bは、B所有の乙不動産をAに売却し、代金1,000万円の受領と同時に登記を移転して引渡しも終えていた。しかし、Bは、錯誤を理由に売買契約を取り消して、乙不動産を返還し、登記を戻すようにAに求めた。これに対し、AがBに対して、1,000万円(代金相当額)の返還を求める場合。

4 BはDに200万円の借金があり、その返済に困っているのを見かねたAが、Bから頼まれたわけではないが、Bに代わってDに対して借金の返済を行った。Bの意思に反する弁済ではないとして、AがDに支払った200万円につき、AがBに対して支払いを求める場合。

【解答及び解説】

【問 8】 正解 2

1 契約に基づいて発生するものではない。AがBに対して有する損害賠償請求権は、使用者責任という不法行為に基づいて発生するものであり、AB間の契約に基づいて発生するものではない。
*民法715条

2 契約に基づいて発生する。AがBに対して有する報酬の支払請求権は、AB間のあっせんの契約に基づいて発生するものである。

3 契約に基づいて発生するものではない。Bは本売買契約の錯誤による取消しを主張しているので、AがBに対して交付した代金相当額の1,000万円は、売買契約という法律上の原因なくして交付した金員になるので、AのBに対する1,000万円の返還請求権は不当利得に基づく返還請求権になり、これは契約に基づいて発生するものではない。
*民法703条

4 契約に基づいて発生するものではない。Aが、第三者の弁済としてDに支払った200万円につき、AがBに対して支払いを求める場合、この根拠は弁済による代位によるものであり、AB間の契約に基づく債権ではない。
*民法499条


【解法のポイント】これは、初めての出題です。内容的には、契約に基づくかどうかなので、当事者間に契約関係があるかどうかさえ考えれば、あっさり正解は出せます。あわてないことが大切です。