下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成23年 問5

【問 5】 AがBに対して1,000万円の代金債権を有しており、Aがこの代金債権をCに譲渡した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AB間の代金債権には譲渡制限の意思表示があり、Cがその意思表示の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合には、BはCに対して弁済を拒むことができる。

2 AがBに対して債権譲渡の通知をすれば、その譲渡通知が確定日付によるものでなくても、CはBに対して自らに弁済するように主張することができる。

3 BがAに対して期限が到来した1,000万円の貸金債権を有していても、AがBに対して確定日付のある譲渡通知をした場合には、BはCに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができない。

4 AがBに対する代金債権をDに対しても譲渡し、Cに対する債権譲渡もDに対する債権譲渡も確定日付のある証書でBに通知した場合には、CとDの優劣は、確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知がBに到着した日時の先後で決まる。

【解答及び解説】

【問 5】 正解 3

1 正しい。当事者が譲渡制限の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。ただ、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができる。
*民法466条2項・3項

2 正しい。債権譲渡は、譲渡人が債務者に通知をすれば、債務者に対抗することができるが、この通知については特に一定の形式は要求されていないので、譲渡通知が確定日付によるものでなくても、CはBに対して自らに弁済するように主張することができる。
*民法467条1項

3 誤り。債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。本肢では、BはAに対して期限が到来した1,000万円の貸金債権を有しているわけだから、BはCに対して相殺を主張することができる。
*民法469条1項

4 正しい。債権譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができないが、債権の二重譲渡の場合で、双方の譲受人が確定日付のある通知を受けている場合は、双方の譲受人間の優劣は、確定日付のある通知の到達した日時の先後で決まる。
*民法467条2項


【解法のポイント】肢1の第三者について重過失の点まで踏み込んだ出題は初めてではないかと思います。しかし、その他の肢は過去問の範囲で対応できますので、問題はないでしょう。今後については、肢1の重過失については、再出題の可能性が大きいと思います。