下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成22年 問29
【問 29】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において、「事務所」とは、同法第15条に規定する事務所等をいう。
1 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、免許証及び国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。
2 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備える義務を怠った場合、監督処分を受けることはあっても罰則の適用を受けることはない。
3 宅地建物取引業者は、各事務所の業務に関する帳簿を主たる事務所に備え、取引のあったつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積等の事項を記載しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに一定の数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならないが、既存の事務所がこれを満たさなくなった場合は、2週間以内に必要な措置を執らなければならない。
【解答及び解説】
【問 29】 正解 4
1 誤り。宅地建物取引業者は、事務所等ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならないという規定はあるが、免許証を掲示しなければならないという規定はない。
*宅地建物取引業法50条1項
2 誤り。宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、従業者名簿を備えなければならず、これに違反した場合は業務停止処分に処せられるだけでなく、50万円以下の罰金に処せられる。
【じっくり解説】
宅建業法の罰則というのは本当にやっかいな範囲ですので、なかなかこのような「ニッチ」な範囲を解説してくれるところも少ないと思います。
「従業者名簿の罰則なんて、覚えてられない!」という感じでしょうが、ここで一つコツを紹介するというのが本日の目的です。
まず、罰則を離れて、絶対に覚えておかなければならない内容として、「報酬額の掲示」「従業者名簿の備付等」「帳簿の備付等」の3つはセットで覚えておいて、これらは「事務所」において必要だということです。つまり、案内所等には、たとえ契約の締結等を予定していても不要だということです。
そして、この3つをセットにしておくと便利なのは、この3つについては罰則が共通だということです。「50万円以下の罰金」になります。ということで、本日の問題は「×」が正解となる。
このよう覚えておけば、次のような問題もラクラク解けることになります。
【参考問題】
「宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法第49条の規定に違反して業務に関する帳簿を備え付けなかったときでも、罰金の刑に処せられることはない。[H12-42(4)]」
本日の解説を読んできた方には簡単ですね。「×」です。50万円以下の罰金ですね。
*宅地建物取引業法48条3項、65条2項2号、83条1項3号の2
3 誤り。宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し取引のあったつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他一定の事項を記載しなければならない。主たる事務所に備えるだけでは不十分である。
*宅地建物取引業法49条
4 正しい。宅地建物取引業者は、その事務所等ごとに、一定の数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならず、既存の事務所等がこれに抵触するに至ったときは、2週間以内に必要な措置を執らなければならない。
*宅地建物取引業法31条の3第3項
【解法のポイント】これも、非常に解答しやすかった問題だったと思います。私には、問題文の「「事務所」とは、同法第15条に規定する事務所等をいう。」という表現がうっとうしかったですが…