下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成22年 問28

【問 28】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 免許を受けている個人Aが死亡した場合、相続人にAの免許は承継されないが、相続人は、Aが生前に締結した契約に基づく取引を結了するための業務を行うことができるので、当該業務が終了した後に廃業届を提出すればよい。

2 免許を受けている法人Bが免許を受けていない法人Cとの合併により消滅した場合、Cは、Bが消滅した日から30日以内に、Bを合併した旨の届出を行えば、Bが受けていた免許を承継することができる。

3 免許を受けている個人Dが、自己の名義をもって個人Eに宅地建物取引業を営ませる行為は、Eが免許を受けているとしても、法第13条で禁止する名義貸しに該当する。

4 免許を受けている法人Fが、宅地建物取引業保証協会の社員でない場合は、営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ事業を開始してはならないので、当該届出前に宅地建物取引業を営む目的で広告をした行為は、法第12条で禁止する無免許事業に該当する。

【解答及び解説】

【問 28】 正解 3

1 誤り。免許を受けている者が死亡した場合は、相続人にその免許は承継されず、相続人は死亡の事実を知った日から30日以内に、その旨を免許権者に届け出なければならない。
*宅地建物取引業法11条1項1号

2 誤り。法人が合併により消滅した場合、その法人を代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を免許権者に届け出なければならない。したがって、本肢の場合、Bを代表する役員が届出を出し、また免許は一身専属的なので、CはBの免許を承継することはできない。
*宅地建物取引業法11条1項2号

3 正しい。宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない。この名義貸しの相手は、免許を有しているものであっても同様である(判例)。
*宅地建物取引業法13条1項

4 誤り。宅地建物取引業の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもって、広告をしてはならない。したがって、免許を受けている者は、営業保証金を供託した旨の届出をしていない場合であっても、営業保証金を供託した旨の届出前の事業の開始として監督処分・罰則の対象とはなるが、無免許事業には該当しない。
*宅地建物取引業法12条2項


【解法のポイント】これも、基本的な問題だったと思います。正解肢の肢3は過去問ですでに一度出題されています。ただ、肢4は正確に理解しておいて下さい。宅地建物取引業を営むのは、以下の流れになります。
免許の取得(=宅地建物取引業者)
  ↓
営業保証金の供託
  ↓
供託の届出
  ↓
事業の開始
そして、宅地建物取引業者の定義は、免許を受けて宅地建物取引業を営む者(2条3号)です。したがって、免許を取得していれば、営業保証金を供託した旨の届出をしていなくても、宅地建物取引業者であり、その後宅地建物取引業に当たる行為をしても、無免許事業には該当しません。ただ、営業保証金を供託した旨の届出前には事業を開始してはいけないので、その点についての監督処分・罰則はあります。