下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成22年 問18

【問 18】 3階建て、延べ面積600㎡、高さ10mの建築物に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 当該建築物が木造であり、都市計画区域外に建築する場合は、確認済証の交付を受けなくとも、その建築工事に着手することができる。

2 用途が事務所である当該建築物の用途を変更して共同住宅にする場合は、確認を受ける必要はない。

3 当該建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。

4 用途が共同住宅である当該建築物の工事を行う場合において、2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事を終えたときは、中間検査を受ける必要がある。

【解答及び解説】

【問 18】 正解 4

1 誤り。本問の建築物は、階数が3以上であり、また延べ面積も500㎡を超えるので、建築確認が必要となる。
*建築基準法6条1項2号

2 誤り。本肢では、共同住宅(特殊建築物)への用途変更であり、延べ面積も200㎡を超えているので、建築確認が必要となる。
*建築基準法87条1項

3 誤り。高さ20mを超える建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。本問の建築物は高さ10mであり、避雷設備は不要である。
*建築基準法33条

4 正しい。建築主は、階数が3以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち政令で定める工程を含む場合において、当該特定工程に係る工事を終えたときは、建築主事等の検査(中間検査)を申請しなければならない。本問の建築物は3階であり、2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事を終えたときは、中間検査を受ける必要がある。

【じっくり解説】

問題文を見てもらえば分かる通り、この問題は「中間検査」に関する問題です。建築確認に係る工事の「検査」というのは、以前は、建築工事が全部終わった後の完了検査というものしかありませんでした。しかし、建物というのは、壁を塗ったり、コンクリートを流し込んだりした後は手抜き工事などというのは分かりにくくなるので、工事中にチェックされる。それが中間検査です。ただ、この中間検査というのは、どんな場合にでも行うというわけではなく、「特定工程」を含む工事についてだけです。

この中間検査が必要な「特定工程」というのは、建築基準法7条の3第1項に規定がありますが、基本的には「特定行政庁が、その地方の建築物の建築の動向又は工事に関する状況その他の事情を勘案して、区域、期間又は建築物の構造、用途若しくは規模を限つて指定する工程」なっていますので(同項2号)、要するに特定行政庁(主に市町村のこと)ごとに、それぞれ決めて下さいということなので、地域によって異なります。したがって、この部分は試験に出ない。

ところが、地域ごとではなく、全国的に(すなわち条文で)「これについては中間検査をして下さい」という特定工程が一つ定められています。それが「階数が三以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち政令で定める工程」(同項1号)です。そして、この条文にある「政令で定める工程」というのが、建築基準法施行令11条に規定があって、「法第7条の3第1項第1号の政令で定める工程は、二階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事の工程とする。」

ややこしいので、この2つの条文を一つにまとめると、「階数が三以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち、二階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事の工程」ということになります。これはピッタリ問題文と合致します。したがって、この問題は「正しい」ということになります。

ちょっと補足しますと、この条文の意味はよく分かると思います。鉄筋を配置する工事は、この鉄筋の周りにコンクリートを流し込んでしまいますと、後でチェックするのが不可能になりますので、「中間」検査が必要になるというわけです。

*建築基準法7条の3第1項1号


【解法のポイント】本問の肢4は、中間検査についてここまで出題されるとは、私は予想していなかったので、ちょっとビックリする問題でした。しかし、この問題は他の肢が非常に基本的なもので、消去法で正解を導くことができたので、みなさんは大丈夫だったかと思います。