下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成22年 問3

【問 3】 所有権及びそれ以外の財産権の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 土地の賃借権は、物権ではなく、契約に基づく債権であるので、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在したとしても、時効によって取得することはできない。

2 自己の所有と信じて占有している土地の一部に、隣接する他人の土地の筆の一部が含まれていても、他の要件を満たせば、当該他人の土地の一部の所有権を時効によって取得することができる。

3 時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。

4 通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 1

1 誤り。土地の賃借権は、物権ではなく、契約に基づく債権であるという点は正しいが、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的な事実が継続すれば、時効によって賃借権を取得することもできる。
*民法163条

2 正しい。土地の一部についても時効取得することは可能である(判例)。
*民法162条

3 正しい。時効は、一定期間占有が継続されれば成立するが、その時効の起算点を時効の援用者がずらして、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない(判例)。
*民法162条

4 正しい。地役権は、通路を開設するなどして、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
*民法283条


【解法のポイント】この問題は、初出題の知識が出てきて、少し難しかったかもしれません。しかし、正解肢の肢1は、所有権の時効取得には、「所有の意思」が必要であり、「賃借の意思」があっても、賃借権は時効取得できるけれども、所有権は時効取得できないという、基本的な内容を押さえていれば、正解できると思います。