下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成21年 問40

【問 40】 宅地建物取引業者Aが行う建物の売買又は売買の媒介に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。

1 Aは、建物の売買の媒介に際し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買契約は成立しなかった。

2 建物の売買の媒介に際し、買主から売買契約の申込みを撤回する旨の申出があったが、Aは、申込みの際に受領した預り金を既に売主に交付していたため、買主に返還しなかった。

3 Aは、自ら売主となる建物(代金5,000万円)の売買に際し、あらかじめ買主の承諾を得た上で、代金の30%に当たる1,500万円の手付金を受領した。

4 Aは、自ら売主として行う中古建物の売買に際し、当該建物の担保責任について、Aがその責任を負うのは、買主が契約不適合を通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約をした。

【解答及び解説】

【問 40】 正解 4

1 違反する。手付けについて貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為は禁止されている。これは、誘引行為自体を禁止しており、それによって契約が成立したか否かを問わない。
*宅地建物取引業法47条3号

2 違反する。宅地建物取引業者は、相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒んではならない。Aは、預り金を既に売主に交付しているからといって、その返還を拒むことはできない。
*宅地建物取引業法施行規則16条の12第2号

3 違反する。宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2をこえる額の手附を受領することができない。これは、あらかじめ買主の承諾を得ていても同様である。
*宅地建物取引業法39条1項

4 違反しない。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主が担保責任を追及するために契約不適合を通知すべき期間について目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。買主が契約不適合を通知する期間を引渡しの日から2年間とする特約は認められる。
*宅地建物取引業法40条


【解法のポイント】肢3は買主が宅地建物取引業者かどうか分からないので、返答に窮してしまいますが、肢4は買主が宅地建物取引業者かどうかにかかわらず認められる特約ですので、肢3の方は「違反する」とせざるを得ないと思います。