下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成21年 問5
【問 5】 担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 抵当権者も先取特権者も、その目的物が火災により焼失して債務者が火災保険金請求権を取得した場合には、その火災保険金請求権に物上代位することができる。
2 先取特権も質権も、債権者と債務者との間の契約により成立する。
3 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。
4 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。
【解答及び解説】
【問 5】 正解 1
1 正しい。抵当権も先取特権も物上代位性を有しており、目的物が火災により焼失した場合は、債務者が受け取るべき火災保険金請求権に対して、抵当権者及び先取特権者は物上代位することができる。
*民法304条、372条
2 誤り。質権は、約定担保物権であり、債権者と債務者の間の契約が必要であるが、先取特権は法定担保物権であり、法定の規定により当然認められ、債権者と債務者の契約は不要である。
*民法303条、344条参照
3 誤り。留置権は動産についても不動産についても成立するという点は正しい。しかし、先取特権は動産に対してだけでなく、たとえば不動産の売買の先取特権のように、不動産についても成立する。
*民法295条、325条
4 誤り。留置権者も、質権者も善良な管理者の注意を持って目的物を占有する必要がある。
*民法298条1項、350条
【解法のポイント】本問のような担保物権一般というような問題は、受験生の立場としては、どこまで勉強しておかなければならないか分かりにくいので、対策が立てにくいですね。しかし、この手も問題も何問か出題されてきましたので、そろそろ対策を立てるべきときかもしれません。本年度に関しては、この問題ができなかったとしても、他の問題で十分合格点は取れますので、合否には直接影響はない問題です。