下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成19年 問11

【問 11】 宅地建物取引業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 売買契約に、隠れた瑕疵についてのAの担保責任を全部免責する旨の特約が規定されていても、Aが知りながらBに告げなかった瑕疵については、Aは契約不適合の責任を負わなければならない。

2 Bが不動産に隠れた瑕疵があることを発見しても、当該瑕疵が売買契約及び取引上の社会通念に照らして軽微である場合には、Aはなんら責任を負わない。

3 Bが不動産に瑕疵があることを契約時に知っていた場合や、Bの過失により不動産に瑕疵があることに気付かず引渡しを受けてから瑕疵があることを知った場合でも、Bは契約を解除することができる。

4 売買契約に、担保責任を追及できる期間について特約を設けていない場合、Bが、目的物の種類又は品質に関する契約不適合責任を追及するときには、Bがその不適合を知った時から1年以内にその旨をAに通知しなければならない。

【解答及び解説】

【問 11】 正解 2

1 正しい。売主は、担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。
*民法572条

2 誤り。引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は契約を解除することができる。ただし、「その契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき」は、契約の解除はできない。しかし、軽微な瑕疵であっても、損害賠償は請求できる。
*民法564条

3 正しい。引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は契約を解除することができる。買主がこの解除権を行使するには、善意無過失である必要はない。
*民法564条

4 正しい。売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
*民法566条


【解法のポイント】瑕疵担保責任はよく出題されますね。実際に不動産取引の実務においても、瑕疵担保責任は非常に問題になることが多い規定です。肢2は、勘違いしないように気を付けて下さい。契約の目的を達することができない場合に追及できないのは、解除だけで損害賠償は請求できます。肢3も気を付けて下さい。担保責任の中でも、瑕疵担保責任は買主に善意「無過失」が要求されます。解説にも書いたように、そもそも瑕疵担保責任の「隠れた」瑕疵は、通常の注意をもって発見できるような瑕疵は、「隠れた」瑕疵とはいいません。したがって、「隠れた」瑕疵といえるには、買主が通常の注意をした、つまり過失がなかったことが前提になります。