下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成19年 問7

【問 7】 担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 建物の建築工事の費用について、当該工事の施工を行った者が先取特権を行使するためには、あらかじめ、債務者である建築主との間で、先取特権の行使について合意しておく必要がある。

2 建物の賃借人が賃貸人に対して造作買取代金債権を有している場合には、造作買取代金債権は建物に関して生じた債権であるので、賃借人はその債権の弁済を受けるまで、建物を留置することができる。

3 質権は、占有の継続が第三者に対する対抗要件と定められているため、動産を目的として質権を設定することはできるが、登記を対抗要件とする不動産を目的として質権を設定することはできない。

4 借地人が所有するガソリンスタンド用店舗建物に抵当権を設定した場合、当該建物の従物である地下のタンクや洗車機が抵当権設定当時に存在していれば、抵当権の効力はこれらの従物に及ぶ。

【解答及び解説】

【問 7】 正解 4

1 誤り。先取特権は法定担保物権であり、法律上当然に認められる担保物権であるから、債務者である建築主と、先取特権の行使について合意しておく必要はない。
*民法327条

2 誤り。造作は建物に関してある程度独立性を有しており、造作買取代金債権は「造作」に関して生じた債権であり、「建物」に関して生じた債権とはいえず、賃借人は造作買取代金債権を被担保債権として建物を留置することはできない(判例)。
*民法295条1項

3 誤り。動産に対する質権の対抗要件は、占有の継続であるが、不動産に対しても質権を設定することもでき、その場合の対抗要件は、登記になる。
*民法361条

4 正しい。抵当権の効力は、抵当権を設定した抵当目的物だけではなく、抵当権設定当時の従物に対しても、その効力を及ぼす。
*民法370条


【解法のテクニック】本問の肢1~肢3はなかなか難しい問題だと思います。しかし、肢4は是非とも押さえておくべき問題です。したがって、消去法でも肢4が正解肢であることが分からないといけません。このメルマガでも何回も指摘してきましたが、宅建試験は難しい肢もありますが、「知っている肢で勝負!」これが基本です。