下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成18年 問39

【問 39】 宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で土地付建物の売買契約を締結した場合、次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Bは、Aが設置したテント張りの案内所で買受けの申込みをし、翌日Aの事務所で契約を締結した場合には、それ以降は一切法第37条の2による当該契約の解除を行うことはできない。

2 当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超える定めをしてはならない。

3 当該契約に「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Aは受領した手付を返還して、契約を解除することができる」旨の特約を定めた場合、その特約は無効である。

4 Aは、当該建物が未完成であった場合でも、Bへの所有権移転の登記をすれば、Bから受け取った手付金等について、その金額を問わず法第41条に定める手付金等の保全措置を講じる必要はない。

【解答及び解説】

【問 39】 正解 1

1 誤り。土地に定着しないテント張りの案内所で買受けの申込みをした場合は、宅地建物取引業者でない買主は、クーリング・オフをすることができる。これは、その後事務所で契約を締結した場合でも同様である。
*宅地建物取引業法37条の2第1項

2 正しい。宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2をこえることとなる定めをしてはならない。
*宅地建物取引業法38条1項

3 正しい。宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは、その手附がいかなる性質のものであつても、解約手付とされる。この規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効となる。したがって、売主が手付の倍額ではなく、受領した手付を返還するだけで解除できるとすることは、買主に不利であり、無効である。
*宅地建物取引業法39条2項3項

4 正しい。宅地建物取引業者は、未完成物件の売買で自ら売主となるものに関しては、手付金等の保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたときは、保全措置を講じる必要はない。
*宅地建物取引業法41条1項


【解法のテクニック】肢1について、売買契約は、買受けの申込み→売買契約の締結の手順で進むわけですが、この買受けの申込みの場所と売買契約の締結の場所が、一方は事務所等で、他方は事務所等以外の場所の場合、クーリング・オフができるかどうかはややこしいところですが、買受けの申込みをした場所、すなわち意思決定をした場所が、事務所等かどうかで決まると覚えておけばいいでしょう。